709 / 882
第十六篇第二章 天下分け目の大戦・壱
荒鷲ガルダvs酒呑オーズ
しおりを挟む帝国軍本部、左翼の戦い。
悲鳴と怒号が入り混じる中で、また新たな戦
の火種が熱を帯びて烈火へと変わる。
「うぃ~……ヒック…ああ、あっしの相手はまたアンタなのかいっ……!」
「へへっ……上等だぜェ……あん時のケリ付けてやるんでェ……そこんとこ…夜露死苦ゥゥゥゥ……!!」
砂の街コルドデザートに位置するセバラ砂漠
のマムナック遺跡前に於いて一度、互いの面
を突き合わせた両者の対峙。
政府軍兼国王直下帝国軍少将オーズ。
同盟軍兼護国師団反乱軍幹部ガルダ。
此の戦いが遂に再現を迎えた。
そして、大きく息を吸い込んだガルダは背骨
が曲がり折れるのでは無いかと言うぐらいに
身体を逸らして丹田に気を溜め込む。
そして、身体を戻す反動と共に雄叫びを上げ
オーズに向けて意志をぶつけた。
「おおっしゃァァ……!良ォく覚えとけよ…。泣く子も黙るブッコミ命の特攻隊長にしてェ反乱軍……いィや……同盟軍切っての暴れん坊ォ……上等するなら容赦しねェ……名はガルダ・ステンローザァ…そこんとこ夜露死苦ゥゥ……!!」
お決まりの名乗り口上が戦場に響く。
すると一番隊にそのまま配置されていたので
あろう、反乱軍ガルダ隊のメンバーの士気が
解り易く熱を帯びて行く。
活気と士気が格段に向上された其の中央にて
ガルダは二本の鉄パイプを構えた。
「……ヒック…相変わらずだねェ……グビッグビッグビッ……ん~…ぷはぁぁ……いつにも増して酒が美味いよォ……うぃ~……」
対する政府軍オーズ・サーヴェントは其の手
に握られた瓢箪の酒を幾らか口からはみ出し
身体に流れながらも豪快に喉へと通す。
そして、赤らんだ表情でニヤリとガルダへと
視線を傾け笑みを浮かべた。
「おおっしゃァ……んじゃあん時の続きをすんならよォ……相応しいのは俺様のハクくてマブいあの姿が適任ってモンよォ……!!」
刈安色のオーラがガルダを包み込む。
あの時の続き、其れはガルダの全開から再開
される事を意図していた。
「疾風覚醒……“ 闘魂兵鷲”ッッ!!!!」
背中から荒々しき鷲の翼が顕現される。
そして、体躯は靭く筋肉が極限に強化された
姿を見せつけ指先の爪は鋭く長く伸びる。
更には、顔面から首元に掛けて赤いペイント
が施され空を征く闘気の戦士が生まれた。
「うぃ~……そうだったねェ……あの時は其の姿は見れず終い……中々におっそろしい姿だよォ……ヒック……!」
「ただただひたすら前へ前へと……ブッ込んで行くんでェ……夜露死苦ゥゥ!!」
地面を蹴ったガルダが異様な圧を誇りながら
オーズへと正面突破を仕掛けて行った。
「あ~あぁ……相変わらずの正面突破……確かアレだァ……退いたりはしないんだよねェ……アンタの流儀ってのはァ……ヒック……」
ガルダの戦い方を知るオーズは不敵に笑みを
浮かべて迫るガルダを見遣った。
50
お気に入りに追加
25
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。

百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
とあるおっさんのVRMMO活動記
椎名ほわほわ
ファンタジー
VRMMORPGが普及した世界。
念のため申し上げますが戦闘も生産もあります。
戦闘は生々しい表現も含みます。
のんびりする時もあるし、えぐい戦闘もあります。
また一話一話が3000文字ぐらいの日記帳ぐらいの分量であり
一人の冒険者の一日の活動記録を覗く、ぐらいの感覚が
お好みではない場合は読まれないほうがよろしいと思われます。
また、このお話の舞台となっているVRMMOはクリアする事や
無双する事が目的ではなく、冒険し生きていくもう1つの人生が
テーマとなっているVRMMOですので、極端に戦闘続きという
事もございません。
また、転生物やデスゲームなどに変化することもございませんので、そのようなお話がお好みの方は読まれないほうが良いと思われます。

冤罪で追放した男の末路
菜花
ファンタジー
ディアークは参っていた。仲間の一人がディアークを嫌ってるのか、回復魔法を絶対にかけないのだ。命にかかわる嫌がらせをする女はいらんと追放したが、その後冤罪だったと判明し……。カクヨムでも同じ話を投稿しています。

もしかして寝てる間にざまぁしました?
ぴぴみ
ファンタジー
令嬢アリアは気が弱く、何をされても言い返せない。
内気な性格が邪魔をして本来の能力を活かせていなかった。
しかし、ある時から状況は一変する。彼女を馬鹿にし嘲笑っていた人間が怯えたように見てくるのだ。
私、寝てる間に何かしました?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる