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第十六篇第二章 天下分け目の大戦・壱
荒鷲ガルダvs酒呑オーズ
しおりを挟む帝国軍本部、左翼の戦い。
悲鳴と怒号が入り混じる中で、また新たな戦
の火種が熱を帯びて烈火へと変わる。
「うぃ~……ヒック…ああ、あっしの相手はまたアンタなのかいっ……!」
「へへっ……上等だぜェ……あん時のケリ付けてやるんでェ……そこんとこ…夜露死苦ゥゥゥゥ……!!」
砂の街コルドデザートに位置するセバラ砂漠
のマムナック遺跡前に於いて一度、互いの面
を突き合わせた両者の対峙。
政府軍兼国王直下帝国軍少将オーズ。
同盟軍兼護国師団反乱軍幹部ガルダ。
此の戦いが遂に再現を迎えた。
そして、大きく息を吸い込んだガルダは背骨
が曲がり折れるのでは無いかと言うぐらいに
身体を逸らして丹田に気を溜め込む。
そして、身体を戻す反動と共に雄叫びを上げ
オーズに向けて意志をぶつけた。
「おおっしゃァァ……!良ォく覚えとけよ…。泣く子も黙るブッコミ命の特攻隊長にしてェ反乱軍……いィや……同盟軍切っての暴れん坊ォ……上等するなら容赦しねェ……名はガルダ・ステンローザァ…そこんとこ夜露死苦ゥゥ……!!」
お決まりの名乗り口上が戦場に響く。
すると一番隊にそのまま配置されていたので
あろう、反乱軍ガルダ隊のメンバーの士気が
解り易く熱を帯びて行く。
活気と士気が格段に向上された其の中央にて
ガルダは二本の鉄パイプを構えた。
「……ヒック…相変わらずだねェ……グビッグビッグビッ……ん~…ぷはぁぁ……いつにも増して酒が美味いよォ……うぃ~……」
対する政府軍オーズ・サーヴェントは其の手
に握られた瓢箪の酒を幾らか口からはみ出し
身体に流れながらも豪快に喉へと通す。
そして、赤らんだ表情でニヤリとガルダへと
視線を傾け笑みを浮かべた。
「おおっしゃァ……んじゃあん時の続きをすんならよォ……相応しいのは俺様のハクくてマブいあの姿が適任ってモンよォ……!!」
刈安色のオーラがガルダを包み込む。
あの時の続き、其れはガルダの全開から再開
される事を意図していた。
「疾風覚醒……“ 闘魂兵鷲”ッッ!!!!」
背中から荒々しき鷲の翼が顕現される。
そして、体躯は靭く筋肉が極限に強化された
姿を見せつけ指先の爪は鋭く長く伸びる。
更には、顔面から首元に掛けて赤いペイント
が施され空を征く闘気の戦士が生まれた。
「うぃ~……そうだったねェ……あの時は其の姿は見れず終い……中々におっそろしい姿だよォ……ヒック……!」
「ただただひたすら前へ前へと……ブッ込んで行くんでェ……夜露死苦ゥゥ!!」
地面を蹴ったガルダが異様な圧を誇りながら
オーズへと正面突破を仕掛けて行った。
「あ~あぁ……相変わらずの正面突破……確かアレだァ……退いたりはしないんだよねェ……アンタの流儀ってのはァ……ヒック……」
ガルダの戦い方を知るオーズは不敵に笑みを
浮かべて迫るガルダを見遣った。
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