RISING 〜夜明けの唄〜

Takaya

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第十六篇第一章 “日の出戦争”

王城右陣の激突

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王都リオプレジア、王城右陣。

此方にはティアを隊長に据えた陽動四隊の内
四番隊が攻め込んで来ていた。

既に戦火の海に呑まれた王都では、大勢の血
が流れ混沌とした戦場へと変貌を遂げる。

そして、此処へと向かって来た戦力の中には
帝国軍とはまた違った勢力も混じっている。

鞭を振るい四番隊所属の革命軍、反乱軍にも
属する一般隊士達を薙ぎ払い其の鞭の行方は
とある一人の男に絞られた。



「いやはや……幾ら姫が関わっているとはいえ此処迄、首を突っ込みますか。君は相当なお人好しですねぇ……」



飛び込んで来た鞭の先端を其の手に握られた
槍で弾き、鞭使いの人間の顔を確認した褐色
の男性はニヤリと笑う。



「ほっとけや……アンタらこそ自分らんコト…傀儡やなんやと嘆いとるワリには…きっちり指示に従っとるやんけ……ボケがァ…!」



バルモア軍所属でありながら今回はバルモア
王女シェリー・ノスタルジアの意志に従って
同盟軍に加入したシグマ・オルフェアス。

対するは、ロード達の前に祈りの街に存在し
激戦を繰り広げた光の泉以来の遭遇となった
宰相直下裏帝軍スネイク・ドラーアッシュ。



「いやはや…私達の想いは常にグレイ様と共に在る……グレイ様が未だ此の軍門に降ると言うのならば傀儡という立場も潔く呑み込んで見せましょう」


「そんのグレイ様っちゅうんが…反旗を翻したらどないやねん?」


「愚問ですねぇ……共に歩むに決まっているでしょう……」


「えらい忠誠心やんか……ほんならわかるんとちゃうか?姫様が戦うっちゅうんならワイがこっから逃げれへん理由も……!」


「………おっと…。此れは一本取られましたねぇ……であれば…互いに互いの忠誠心を示す為……潰し合いと行きましょうか…!」



スネイクは自身に朽葉色のオーラを纏わせて
波動のチカラを上昇させて行く。



「大地覚醒……“ 毒睨豪蛇ポイズンコブラ”……ッ!!」



舌が蛇の様に長く変化を遂げる。

更に左肩にはコブラの頭部の肩当てが発現し
鞭が右腕と同化し蛇へと変化する。

此の左右のコブラと蛇は意志を持つ。



「さあ、始めましょうか。シグマ・オルフェアス……いやはや、柄にも無く昂って参りましたよ」



覚醒を遂げたスネイクを見据えて萱草色の風
を全身に纏わせたシグマを地面を蹴る。

そして、空中でスネイクへと狙いを定め槍の
先端を向けながら物思いに耽っていた。



「(アンタ、いうとったなあ……忠誠心がどうのって……ワイはグレイっちゅう男はわからんが……姫様の事はよう知っとるよ……あん人は忠誠心なんか求めとらん……せやのに強がるんや…強いフリしてのう。だからワイは死ねん…姫様はきっとこんなワイが死んでも自分ん事を責めてまうからやッ!!)」



想いと共にシグマの一撃がスネイクへ向けて
強く、そして激しく撃ち込まれる。


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