RISING 〜夜明けの唄〜

Takaya

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第十六篇第一章 “日の出戦争”

帝国軍本部右翼の激突

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帝国軍本部、右翼。

此方には同盟軍三番隊の面々が攻め込んだ。

状況は既に左翼の状態と同じく両軍の兵士が
禍々しい熱気を帯びてぶつかり合う。

各戦場が一斉に衝突を起こしたのだ。

陽動四隊を目掛けて現場指揮を執る政府軍の
中将達と共に駆け付けて来た主力達。

其の波動を感じながら、三番隊の主力。

革命軍幹部ルナ・オウスムーンがライフルを
手にして敵を迎え撃っていた。

そんなルナを見つけた一人の帝国軍の女性が
多少の場違いさを感じさせる言葉を投げ掛け
建物の屋根から飛び降りて来た。



「はーいっ、こーんにちはぁ!!ひっさしぶりだねっ……ルナちゃんっ…エルムちゃん参上だよっっ!!」



可愛らしい声でヒラヒラと手を振る帝国軍の
少将エルム・ミュリアルに対し完全に肩の力
が抜けてしまったルナは引き気味の表情にて
エルムの登場を出迎えた。



「相変わらず…なのだな。エルム少将…」


「エルムちゃんって呼んでってばあ…可愛くないよ…やっぱり…その呼び方はっ!」


「……此の会話、前にもしなかったか?」


「したよっ!!だから、やっぱりって言ったでしょっ?もうっ……ルナちゃんてば抜けてるんだからあ……」



何やら顔を真っ赤にして頬を膨らませた少将
エルムの態度にルナは呆れ返る。

そして、数秒して問題点に気付いた。



「(エルム少将…君に抜けてるとだけは言われたくないのだが……)」



そんな事を考えているとエルムからルナへと
とある言葉が飛び掛かって来る。



「ねぇっ……お兄さんの本懐?だっけ…それを叶えるにはやっぱり戦わなきゃダメっ?」


「………其の為に私は此処に来たのだ」


「そっかあ……じゃあ…わかったフリして止めようとしてもムダって事だね……すっごく胸がいたいよっ……ルナちゃん」



ルナは感じていた。

エルムという帝国軍の少将は心の底から戦い
を嫌っていると言う事を。

其れでも、眼前に立ちはだかる。

本来であれば巻き込まれる筈の無い人種。

出逢い方が違ったならば争う事等無い人種。

だからこそ、ルナのライフルを握る手からも
迷いが生じてしまっていた事は否めない。

しかし、進まなければならない。

兄の為、自身の為、仲間の為。

そして、此の国の未来の為に。

唇を噛み、何かを押し殺した様な表情を見て
エルムにも其の辛さが伝わって行く。

更に重たい痛みがエルムを襲い、彼女は必死
に瞳を閉じて、強く叫んだ。



「氷雪覚醒……“ 泡雪魔導スノーソーサー”ッッ!!!!」



白と黒の氷をモチーフとしたドレスを纏う。

首周りに黄色のマフラーが巻かれ帽子と彼女
の持つステッキが氷で出来たモノへと変化。

ペンギンをモチーフとしたエルムの覚醒を前
にしてルナも最後の覚悟を決める。



「あの日の決着を着けるとしようか……エルム少将……!」



ライフルの照準をエルムに合わせ小さく呟く
ルナも戦闘体勢へと入り込む。
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