702 / 729
第十六篇第一章 “日の出戦争”
帝国軍本部右翼の激突
しおりを挟む帝国軍本部、右翼。
此方には同盟軍三番隊の面々が攻め込んだ。
状況は既に左翼の状態と同じく両軍の兵士が
禍々しい熱気を帯びてぶつかり合う。
各戦場が一斉に衝突を起こしたのだ。
陽動四隊を目掛けて現場指揮を執る政府軍の
中将達と共に駆け付けて来た主力達。
其の波動を感じながら、三番隊の主力。
革命軍幹部ルナ・オウスムーンがライフルを
手にして敵を迎え撃っていた。
そんなルナを見つけた一人の帝国軍の女性が
多少の場違いさを感じさせる言葉を投げ掛け
建物の屋根から飛び降りて来た。
「はーいっ、こーんにちはぁ!!ひっさしぶりだねっ……ルナちゃんっ…エルムちゃん参上だよっっ!!」
可愛らしい声でヒラヒラと手を振る帝国軍の
少将エルム・ミュリアルに対し完全に肩の力
が抜けてしまったルナは引き気味の表情にて
エルムの登場を出迎えた。
「相変わらず…なのだな。エルム少将…」
「エルムちゃんって呼んでってばあ…可愛くないよ…やっぱり…その呼び方はっ!」
「……此の会話、前にもしなかったか?」
「したよっ!!だから、やっぱりって言ったでしょっ?もうっ……ルナちゃんてば抜けてるんだからあ……」
何やら顔を真っ赤にして頬を膨らませた少将
エルムの態度にルナは呆れ返る。
そして、数秒して問題点に気付いた。
「(エルム少将…君に抜けてるとだけは言われたくないのだが……)」
そんな事を考えているとエルムからルナへと
とある言葉が飛び掛かって来る。
「ねぇっ……お兄さんの本懐?だっけ…それを叶えるにはやっぱり戦わなきゃダメっ?」
「………其の為に私は此処に来たのだ」
「そっかあ……じゃあ…わかったフリして止めようとしてもムダって事だね……すっごく胸がいたいよっ……ルナちゃん」
ルナは感じていた。
エルムという帝国軍の少将は心の底から戦い
を嫌っていると言う事を。
其れでも、眼前に立ちはだかる。
本来であれば巻き込まれる筈の無い人種。
出逢い方が違ったならば争う事等無い人種。
だからこそ、ルナのライフルを握る手からも
迷いが生じてしまっていた事は否めない。
しかし、進まなければならない。
兄の為、自身の為、仲間の為。
そして、此の国の未来の為に。
唇を噛み、何かを押し殺した様な表情を見て
エルムにも其の辛さが伝わって行く。
更に重たい痛みがエルムを襲い、彼女は必死
に瞳を閉じて、強く叫んだ。
「氷雪覚醒……“ 泡雪魔導”ッッ!!!!」
白と黒の氷をモチーフとしたドレスを纏う。
首周りに黄色のマフラーが巻かれ帽子と彼女
の持つステッキが氷で出来たモノへと変化。
ペンギンをモチーフとしたエルムの覚醒を前
にしてルナも最後の覚悟を決める。
「あの日の決着を着けるとしようか……エルム少将……!」
ライフルの照準をエルムに合わせ小さく呟く
ルナも戦闘体勢へと入り込む。
40
お気に入りに追加
22
あなたにおすすめの小説
マッサージ師にそれっぽい理由をつけられて、乳首とクリトリスをいっぱい弄られた後、ちゃっかり手マンされていっぱい潮吹きしながらイッちゃう女の子
ちひろ
恋愛
マッサージ師にそれっぽい理由をつけられて、乳首とクリトリスをいっぱい弄られた後、ちゃっかり手マンされていっぱい潮吹きしながらイッちゃう女の子の話。
Fantiaでは他にもえっちなお話を書いてます。よかったら遊びに来てね。
【R-18】クリしつけ
蛙鳴蝉噪
恋愛
男尊女卑な社会で女の子がクリトリスを使って淫らに教育されていく日常の一コマ。クリ責め。クリリード。なんでもありでアブノーマルな内容なので、精神ともに18歳以上でなんでも許せる方のみどうぞ。
隣の席の女の子がエッチだったのでおっぱい揉んでみたら発情されました
ねんごろ
恋愛
隣の女の子がエッチすぎて、思わず授業中に胸を揉んでしまったら……
という、とんでもないお話を書きました。
ぜひ読んでください。
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
お嬢様、お仕置の時間です。
moa
恋愛
私は御門 凛(みかど りん)、御門財閥の長女として産まれた。
両親は跡継ぎの息子が欲しかったようで女として産まれた私のことをよく思っていなかった。
私の世話は執事とメイド達がしてくれていた。
私が2歳になったとき、弟の御門 新(みかど あらた)が産まれた。
両親は念願の息子が産まれたことで私を執事とメイド達に渡し、新を連れて家を出ていってしまった。
新しい屋敷を建ててそこで暮らしているそうだが、必要な費用を送ってくれている以外は何も教えてくれてくれなかった。
私が小さい頃から執事としてずっと一緒にいる氷川 海(ひかわ かい)が身の回りの世話や勉強など色々してくれていた。
海は普段は優しくなんでもこなしてしまう完璧な執事。
しかし厳しいときは厳しくて怒らせるとすごく怖い。
海は執事としてずっと一緒にいると思っていたのにある日、私の中で何か特別な感情がある事に気付く。
しかし、愛を知らずに育ってきた私が愛と知るのは、まだ先の話。
隣の人妻としているいけないこと
ヘロディア
恋愛
主人公は、隣人である人妻と浮気している。単なる隣人に過ぎなかったのが、いつからか惹かれ、見事に関係を築いてしまったのだ。
そして、人妻と付き合うスリル、その妖艶な容姿を自分のものにした優越感を得て、彼が自惚れるには十分だった。
しかし、そんな日々もいつかは終わる。ある日、ホテルで彼女と二人きりで行為を進める中、主人公は彼女の着物にGPSを発見する。
彼女の夫がしかけたものと思われ…
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる