699 / 849
第十六篇第一章 “日の出戦争”
直進する奪還隊
しおりを挟むそして、陽動四隊とは別に組織された国王達
の奪還を目指す五番隊は、真っ直ぐに帝国軍
本部の敷地内を邁進していた。
此の隊の所属メンバーは、六撰将の内ガルフ
を抜いた五名のメンバー達。
「大体、時間も予定通りだ。コレは完全にスケジューリングの勝利だね……帰ったら此の成功体験を社内に落とし込まないとね」
六撰将兼M・S・システムズの代表取締役を
務めるマルク・セイアートがそう話す。
「マルクさん……戦争での成功体験は中々、会社には落とし込みづらいんじゃ……」
六撰将兼孤児村ピースハウスの経営者である
ザック・トニーキースはそう反応する。
「貪欲なる姿勢は良き事ですよ。総てを前進させようとするとは……素晴らしいですね」
六撰将兼プレジア政府法務省に所属していた
ガスタ・レイノルズは目尻を下げる。
「ウフフ……個性が色豊かで面白いですわね。早く国王様達も混ぜてお話してみたい所です」
六撰将兼由緒正しき歴史を誇る鳳凰殿の巫女
リア・フローレスは笑ってそう話す。
「そりゃ間違いねえってぇの。かなりお待たせしちまっとるからな……今行きやすぜ……ストラーダ様ッ!!」
六撰将兼プレジア政府防衛省に所属していた
ランス・テラモーノはそう気合いを込める。
そして、奪還を目指す五番隊の行方の先にて
緩りと地下の階段を降りた場所では牢の前で
二人の人間が手ぐすねを引いていた。
「問題は未解決の儘だが……そうだな。此れ程の愉悦は中々味わう事が出来ぬ……」
牢の前で椅子に片足を組んで座った其の男は
白い手袋を引っ張ってニヤリと笑う。
「国王様……恐らくとんでもない量の血が流れます……ですが、総ては貴方様の裏切りが原因である事をお忘れ無き様に……」
もう一人の眼鏡の女性は牢に繋がれた国王と
其の妻に対し厳しい表情でそう話した。
此の二人は宰相ガズナから此の命を受け此の
帝国軍本部の地下牢に幽閉した罪人二人の身
を守護する任を受け持った。
宰相警護特命衛士兼現政府環境省に所属する
女性、イヴ・パルテナス。
同じく宰相警護特命衛士兼財務省に所属する
男性、アダム・リスキーノ。
此の二人に護られる地下牢には此の戦争勃発
の火種となった男であるプレジア王家の国王
ストラーダ・ケーニッヒ。
そして、其の妻でありロードの母親。
サーラ・ヘヴンリーの姿があった。
「…………ロードまで来ているのね…」
「………ああ、俺達が撒いた火種の処理をアイツにまで背負わせてしまうとは……だが、信じる他無いな……変革の為なのだ…」
「……ぅう……ごめんなさい…ごめんなさいッ……ロードッ……」
予測はしていた筈だった。
だが、真横で涙に暮れるサーラの姿を見ると
ストラーダの胸は張り裂けそうになる。
生まれが違う、此れだけが罪となる時代。
時代が時代なら、何の罪にも問われない。
其の問題が戦争勃発の火種となった事を今は
悔いるしか無いというのだろうか。
60
お気に入りに追加
25
あなたにおすすめの小説
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
もしかして寝てる間にざまぁしました?
ぴぴみ
ファンタジー
令嬢アリアは気が弱く、何をされても言い返せない。
内気な性格が邪魔をして本来の能力を活かせていなかった。
しかし、ある時から状況は一変する。彼女を馬鹿にし嘲笑っていた人間が怯えたように見てくるのだ。
私、寝てる間に何かしました?
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
学園長からのお話です
ラララキヲ
ファンタジー
学園長の声が学園に響く。
『昨日、平民の女生徒の食べていたお菓子を高位貴族の令息5人が取り囲んで奪うという事がありました』
昨日ピンク髪の女生徒からクッキーを貰った自覚のある王太子とその側近4人は項垂れながらその声を聴いていた。
学園長の話はまだまだ続く……
◇テンプレ乙女ゲームになりそうな登場人物(しかし出てこない)
◇ふんわり世界観。ゆるふわ設定。
◇なろうにも上げています。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
仰っている意味が分かりません
水姫
ファンタジー
お兄様が何故か王位を継ぐ気満々なのですけれど、何を仰っているのでしょうか?
常識知らずの迷惑な兄と次代の王のやり取りです。
※過去に投稿したものを手直し後再度投稿しています。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
日本列島、時震により転移す!
黄昏人
ファンタジー
2023年(現在)、日本列島が後に時震と呼ばれる現象により、500年以上の時を超え1492年(過去)の世界に転移した。移転したのは本州、四国、九州とその周辺の島々であり、現在の日本は過去の時代に飛ばされ、過去の日本は現在の世界に飛ばされた。飛ばされた現在の日本はその文明を支え、国民を食わせるためには早急に莫大な資源と食料が必要である。過去の日本は現在の世界を意識できないが、取り残された北海道と沖縄は国富の大部分を失い、戦国日本を抱え途方にくれる。人々は、政府は何を思いどうふるまうのか。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
【完結】竜人が番と出会ったのに、誰も幸せにならなかった
凛蓮月
恋愛
【感想をお寄せ頂きありがとうございました(*^^*)】
竜人のスオウと、酒場の看板娘のリーゼは仲睦まじい恋人同士だった。
竜人には一生かけて出会えるか分からないとされる番がいるが、二人は番では無かった。
だがそんな事関係無いくらいに誰から見ても愛し合う二人だったのだ。
──ある日、スオウに番が現れるまでは。
全8話。
※他サイトで同時公開しています。
※カクヨム版より若干加筆修正し、ラストを変更しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる