RISING 〜夜明けの唄〜

Takaya

文字の大きさ
上 下
696 / 882
第十六篇第一章 “日の出戦争”

先陣を切る者達

しおりを挟む






刻はほんの少し遡る。

此れは旅籠“ヒノマルでの”作戦会議での一幕
なのだが本部内の敷地を把握した死蜘蛛狂天
ディル・ウォンリザードから説明が為されて
おり六撰将達が其の作戦に耳を傾けた。



『第一の目的である国王の其の妻の奪還…恐らくは帝国軍本部内地下の牢に彼等は囚われている筈……宰相ガズナの性格を持ってして目の届く場所に二人を連れて来る可能性は薄いだろう……だからこそ政府の戦力を削る陽動の隊と奪還を目指す隊を選抜する』



死蜘蛛狂天ディルの説明はこうだ。

城下町から帝国軍本部を見上げるのに最適の
本陣の位置は巨大な櫓の上。

其処から二重の濠を越えて内輪道を突き進む
事で帝国軍本部の左陣と右陣へと到達する。

そして外輪の道を行けば、其の先は王宮。

帝国軍本部と王宮の左右へと抜け進軍を図る
陽動を請け負う四隊と中央を突き進み帝国軍
本部地下の国王達を目指す隊を選抜する。

中央を行く本隊の中心には勿論、敷地の中を
把握している六撰将のランスとガスタが其の
任にお誂え向きなのは事実。

だからこそ、ランスとガスタと連携の取れる
六撰将の中でガルフを除いた五名が其の隊に
組み込まれる事となった。

此処で重要なのが四隊に別れて進む陽動部隊
で在るが此処にも重要な役割が為される。

陽動作戦というだけ有り、敵陣が其の陽動の
隊に誘われて貰わなければならない。

其処には打ってつけの人材が同盟軍には何と
揃っている事が此処で打ち明かされる。

其れは革命軍と反乱軍の最高幹部達。



一番隊隊長ウィルフィン・フィンドール。

二番隊隊長アドリー・エイテッド。

三番隊隊長フロウ・ダルバイン。

四番隊隊長ティア・ミルキートライヴ。



ディルの予測からして此の四人を陽動四隊の
隊長に据える事で敵陣の戦力の中で侮る事の
出来ない中将達を本部から左右に誘き出して
行けるという算段が成り立った。

陽動四隊で敵戦力の分断。

奪還を目指す五番隊の突破力で国王達を其の
手で取り戻しつつ、最大の難所となる大将の
三人とロストを中心戦力で止める。

勿論、此れは机上の空論。

不安点等、挙げればキリが無い。

退路を断った同盟軍に撤退は無いのだ。

勝つ事以外での命を守る術すら無い。

其れを理解しつつ同盟軍全員が此の作戦の中
に覚悟を灯して行ったのだった。

不安は在るが、迷いは無い。

反乱軍と革命軍の最高幹部達を先頭に陽動を
目的とした四隊が作戦通り敵陣を駆け上がる
中でロードの元に二人の男が声を掛ける。



「今俺達にしてやれんのはアイツ等を信じてやる事だけだぜ…ロード」


「俺達は皆が作った道の先で為すべき事が待っている…其の為に今は耐えよう」


「………ああ、わかってる」



本陣となった櫓の上に残されたロードを始め
としたエルヴィス、ノア、シェリー、ガルフ
の五人は仲間達の背中を見送った。


しおりを挟む
感想 37

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

愛していました。待っていました。でもさようなら。

彩柚月
ファンタジー
魔の森を挟んだ先の大きい街に出稼ぎに行った夫。待てども待てども帰らない夫を探しに妻は魔の森に脚を踏み入れた。 やっと辿り着いた先で見たあなたは、幸せそうでした。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

もしかして寝てる間にざまぁしました?

ぴぴみ
ファンタジー
令嬢アリアは気が弱く、何をされても言い返せない。 内気な性格が邪魔をして本来の能力を活かせていなかった。 しかし、ある時から状況は一変する。彼女を馬鹿にし嘲笑っていた人間が怯えたように見てくるのだ。 私、寝てる間に何かしました?

とあるおっさんのVRMMO活動記

椎名ほわほわ
ファンタジー
VRMMORPGが普及した世界。 念のため申し上げますが戦闘も生産もあります。 戦闘は生々しい表現も含みます。 のんびりする時もあるし、えぐい戦闘もあります。 また一話一話が3000文字ぐらいの日記帳ぐらいの分量であり 一人の冒険者の一日の活動記録を覗く、ぐらいの感覚が お好みではない場合は読まれないほうがよろしいと思われます。 また、このお話の舞台となっているVRMMOはクリアする事や 無双する事が目的ではなく、冒険し生きていくもう1つの人生が テーマとなっているVRMMOですので、極端に戦闘続きという 事もございません。 また、転生物やデスゲームなどに変化することもございませんので、そのようなお話がお好みの方は読まれないほうが良いと思われます。

サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由

フルーツパフェ
大衆娯楽
 クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。  トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。  いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。  考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。  赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。  言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。  たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

冤罪で追放した男の末路

菜花
ファンタジー
ディアークは参っていた。仲間の一人がディアークを嫌ってるのか、回復魔法を絶対にかけないのだ。命にかかわる嫌がらせをする女はいらんと追放したが、その後冤罪だったと判明し……。カクヨムでも同じ話を投稿しています。

処理中です...