RISING 〜夜明けの唄〜

Takaya

文字の大きさ
上 下
685 / 729
第十五篇第四章 政府軍〜威光再臨譚〜

頑固者への懇願

しおりを挟む






王都リオプレジアの帝国軍本部内。

既に結集した戦力の中に一人、とある部屋の
窓際に椅子を置き天を眺める者有り。

其の者は、今何を想うのか。

憂い気の強い瞳で天を見上げ、まるで何かに
黄昏ているかの様な心情が紐解ける。



「珍しいどすなぁ、あんたがそないに空を見上げてはるなんて……」


「バレットか……」



其の者を尋ねて来たのは国王直下帝国軍中将
バレット・ワグナーであった。

バレットは椅子に座した儘で此方を振り返る
事もしない巨躯の相手に目を向ける。



「もしかして、愛弟子はんの事どすか?話を聞いただけの身分で言うのもアレどすけど。なんであないな真似をしたんやろうな…?」


「…………もしかしたら歳月を通し、凝り固まった何かがあったのやもしれんな」


「凝り固まったなんか?そら何どす?」


「想いという名の正義だ。ワシにも知り得ない奴にとっての其れが……虎視眈々と形を成しそして暴発……いや炸裂したと言う事なんだろう」


「アンタでも知り得えへん正義どすか……気持ちは汲む事こそ出来てもわしには到底、理解には及ばなおすなぁ」



バレットは頭を掻きながら椅子に腰掛けた儘
の中将クロス・ヴェルタイガーへと配慮の情
を浮かべながら言葉を選び話す。

だがしかし、バレットが本日此の場にクロス
を尋ねて来たのには理由があった。

今のクロスには酷な話だと理解しつつも此の
話をせずには来た意味が無い。

揺れる心情を押し殺し、意を決して口を開く
バレットから其の言葉が流れ出る。



「U・Jの事はどう考えてますのん……?」


「U・J……か。奴の何を考えるって?」


「わかってるはずどすえ。サーガとU・J、奴等の絆はほんまもん……サーガの仇が政府ってのはもう変えようもあらへん。奴もまたけったいな行動を起こす前に釘を刺すべきちゃいますか……?」



バレットの考えは至極真っ当。

其れはサーガとU・Jの関係性を見れば誰が
見ても明らかで在り考えに至る所。

クロスは数秒間の沈黙の末に口を開く。



「釘を刺して止まるタマなら…奴は既にワシの地位なんざ飛び越しとる」


「強さがほんまもんやさかい厄介なんどすえ……そやさかい他の誰かではのうて…アンタが止めなあかんのどす。元上司のアンタしか其の役目は全う出来ひん……」


「………かもな。忠告ありがとよ、バレット。しかしよ……奴には奴の正義が在る。其れを押さえつける様な真似はワシには出来んぞ」


「そやけど、ほな……」



バレットから搾り出された言葉にクロスから
返答の言葉は一行に飛んで来ない。

バレットは呆れた様に溜息を吐いた。



「頑固なんは昔っからそうどしたなぁ……変わらしまへんね、アンタもまた…」



バレットは気遣いを見せて深々と一礼すると
クロスの元から足を進めて離れて行った。

しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

[R18] 激しめエロつめあわせ♡

ねねこ
恋愛
短編のエロを色々と。 激しくて濃厚なの多め♡ 苦手な人はお気をつけくださいませ♡

マッサージ師にそれっぽい理由をつけられて、乳首とクリトリスをいっぱい弄られた後、ちゃっかり手マンされていっぱい潮吹きしながらイッちゃう女の子

ちひろ
恋愛
マッサージ師にそれっぽい理由をつけられて、乳首とクリトリスをいっぱい弄られた後、ちゃっかり手マンされていっぱい潮吹きしながらイッちゃう女の子の話。 Fantiaでは他にもえっちなお話を書いてます。よかったら遊びに来てね。

校長室のソファの染みを知っていますか?

フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。 しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。 座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る

隣の席の女の子がエッチだったのでおっぱい揉んでみたら発情されました

ねんごろ
恋愛
隣の女の子がエッチすぎて、思わず授業中に胸を揉んでしまったら…… という、とんでもないお話を書きました。 ぜひ読んでください。

隣の人妻としているいけないこと

ヘロディア
恋愛
主人公は、隣人である人妻と浮気している。単なる隣人に過ぎなかったのが、いつからか惹かれ、見事に関係を築いてしまったのだ。 そして、人妻と付き合うスリル、その妖艶な容姿を自分のものにした優越感を得て、彼が自惚れるには十分だった。 しかし、そんな日々もいつかは終わる。ある日、ホテルで彼女と二人きりで行為を進める中、主人公は彼女の着物にGPSを発見する。 彼女の夫がしかけたものと思われ…

生贄にされた先は、エロエロ神世界

雑煮
恋愛
村の習慣で50年に一度の生贄にされた少女。だが、少女を待っていたのはしではなくどエロい使命だった。

社長の奴隷

星野しずく
恋愛
セクシー系の商品を販売するネットショップを経営する若手イケメン社長、茂手木寛成のもとで、大のイケメン好き藤巻美緒は仕事と称して、毎日エッチな人体実験をされていた。そんな二人だけの空間にある日、こちらもイケメン大学生である信楽誠之助がアルバイトとして入社する。ただでさえ異常な空間だった社内は、信楽が入ったことでさらに混乱を極めていくことに・・・。(途中、ごくごく軽いBL要素が入ります。念のため)

RUBBER LADY 屈辱の性奴隷調教

RUBBER LADY
ファンタジー
RUBBER LADYが活躍するストーリーの続編です

処理中です...