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第十五篇第四章 政府軍〜威光再臨譚〜
監獄の獣達
しおりを挟む舞台は切り替わるー。
七日後の決戦を控えて続々と政府の戦力達が
王都リオプレジアへと集結しつつあった。
目的地は、王宮と帝国軍本部の連なる中心地
であり外苑に住まう人々達は一時的に戦火を
被る事が予想される王都の中心地から離れる
事が国から命じられていた。
「どこもかしこも慌ただしいッスね。やっぱり戦争は起こるって事か……ねぇ署長」
最初に口を開いたのは大監獄プリズングァザ
の副署長ロア・シュタイナー。
其の言葉を受けて口を開くのは同じく大監獄
プリズングァザ署長、マッド・ゲルティーノ
であり静かに声を放つ。
「厳格なる国の規律を改めて取り戻す為の大いなる一歩……戦いが起ころうとも起こらなかろうとも……私達のすべき事は変わらぬよ」
眉一つ動かさずに歩きながらそう唱える署長
マッドの背後からピョンとウサギの耳を模る
カチューシャを付けた女性が跳ねる。
「やっべっ……やっぱりチョーカッケェし!マッド様は違うなあ……マジ尊すぎッ!」
大監獄プリズングァザ看守長を務める紅一点
ルミナ・ステュールは何やらテンション高く
息を荒くしていた。
「はぁ……相変わらずうるせぇヤツ……その限界オタク感、やめろよな……?」
「ええ~っ……それはちょっち無理かもお?だってマッド様はうちの…憧れてってか?好きピってか?生き甲斐ってか?とにかくらぶっチュッチュなんだしッ!!」
足をバタ付かせて反抗するルミナに対しロア
は呆れた様にマッドに近付くと小声で耳打ち
を始めた。
「ねぇ…署長?なんでアイツが看守長なんすか……?もーちょい話しが通じるヤツだと助かるんスけどね……」
「………実力だ」
「………はい、そーでしたね……」
諦めた様にトボトボと方を落とすロアを抜き
マッドの横に立ったルミナは随分と嬉しそう
な表情でスキップを続ける。
「何やら良き事でもあったか?ルミナ」
「ズギュンッ……ッ!!な、名前呼ばれるのは流石に破壊力すごいしッ!!て、てかマッド様と歩けてるだけでルミナは…ルミナはァ!!」
真っ赤になった顔を両手で隠してクルクルと
身体を旋回させながらロアの後ろへと戻った
ルミナは実は、マッドとの直接の会話をする
事は途轍も無く、弱いのだ。
「…………私と会話を出来る者の就任を考えなくてはならぬかもしれないか…」
「アンタって人はね……」
そんなルミナを見たマッドの一言を聞きロア
は署長のマッドに対しても呆れた表情で言葉
を言い放って見せる。
其の背後では、まだ途切れる事無くフワフワ
と大量のハートマークに囲まれたルミナ嬢の
姿が在り、ロアは頭を抱えていた。
「其れは兎も角……着いたな」
「ええ、取り敢えずやる事やりましょうか」
「うち頑張るしっ!マッド様の為にっ!」
大監獄プリズングァザの勢力が帝国軍本部の
真下へと到達すると其の威風堂々した建物を
緩りと見上げるのだった。
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