RISING 〜夜明けの唄〜

Takaya

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第十五篇第三章 同盟軍〜維新誓心譚〜

縁日の夜

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空の街スカイニウムに在る旅籠“ヒノマル”の
周辺地域は季節的に縁日の催しに包まれる。

三日間続く此の祭り風景は七日後の大事件を
控えて戦う運命の中に居る人間達の心の中を
穏やかに浄化して行く。

作戦会議を銘打って死蜘蛛狂天と六撰将達は
“ヒノマル”の三階奥の間に残留しての会議が
今も尚、続いていたが其れ以外のメンバーは
自分達のペースで縁日へと出向いて行く。

其の中で、旅籠の中に残った人間も居た。

其々の“今”を描いて行こうか。



「さて、私も行くか……」



旅籠を出たシャーレは先に飛び出して行った
ロード達の背中を追う様に祭りの中へ向かう
其の途中で一人の人間に背後から突如として
力強く肩を組まれる。



「どうも~僕ちんでぇ~す。彼氏クン、ひっさびさじゃん」


「……ッ……エゼル…ッ」



シャーレに接触して来たのは反乱軍の幹部で
エゼルというチャラ男だった。

舌を出して笑うエゼルの姿に驚いたシャーレ
は足を止めたのだが、其の足をエゼルに無理
に押し進められ縁日とは逆方向に連れられて
行くとシャーレは慌てて声を出す。



「……何処に向かうのだ!?」


「ちょっち聞いてみたい事があるんしょ。付き合ってクレメンス~」


「……唐突だな」



エゼルとシャーレ。

二人の向かった先は旅籠“ヒノマル”の裏手に
存在するとある居酒屋だった。

勢い良くエゼルの流れに負けて黙り込んだ儘
席へと着いたシャーレの元にエゼルの頼んだ
ビールとおつまみが運ばれて来る。



「……………何がどうなって……こうなったんだ…?」


「うぇ~い、とりま乾杯っしょ~!!」



ジョッキを握らされたシャーレにエゼルの手
に握られたジョッキが当てがわれる。

流れの儘、始まった飲み会でエゼルはビール
を男らしくグビグビと飲み干して行く。



「ぷはぁ~…まちがいなくこれっしょ~」


「……何なんだ一体……美味いが…」


「聞いてみたい事があるって、僕ちん言ったっしょ~?彼氏クン」


「……だから其れは何なんだ……?」


「ポアラちゃんとはドコまでいったん?まさかキスとかで終わってるとか、言わないっしょ??」



唐突な質問にビールを吹き出すシャーレ。



「あれれ?まっさっか~……気持ちも伝えてないとか……言わないよねぇ…?」



何故だか、圧力的にゴゴゴと迫って来た眼前
のエゼルの迫力にシャーレが目を背ける。



「あっちゃあ…ポアラちゃんのコトさあ…好きなんしょ!?」


「……それは…」


「男らしくないねぇ……そんなんだったらポアラちゃんが可哀想っしょ。とりま…戦い終わったら…ちゃんと気持ち伝えるのがベストじゃん!?男見せなよッ!」


「……ああ、解ってる」


「じゃなきゃ、僕ちん本気でポアラちゃんの事狙っちゃうかんね?」


「………其れだけは駄目だ」



圧力的だったエゼルの表情にも笑顔が戻って
居酒屋の夜は静かに更けて行った。



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