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第十五篇第二章 夜明けを導く者達
遂に並んだ轍
しおりを挟む「ハハハ……何をお前だけ俯瞰した眼で見ているんだ…ウィルフィン」
「………フロウか。いや、こうゆうのには慣れていないだけだ」
「何処迄行ってもお堅い奴だな、お前は。だが……今は肩を組み合わせる流れだ」
「………やめろ、気恥ずかしい」
知り合ってから二十年程にもなって漸く隣に
立ち合わせた反乱軍副長ウィルフィンの肩に
腕を掛ける革命軍参謀フロウ。
そして、其の人混みの中を掻き分けて反乱軍
の一人の女性が革命軍の女性に勢い良く涙を
流しながら抱き着いて見せた。
「………ティア……ッ!!」
「アドリー……やっと…やっと。元に戻れましたわね…」
「…………うん。苦しかった…辛かった…」
「私もですわ……でももう此れで…争わずに済みます。戦いが終わり…もしまたノア達が対立しようとするのなら…其の時は……」
「私達が……殴ってでも止めよう。もうあんな悲しいのは御免だよ…」
「ですわね……ッ」
ティアの胸の中で歓喜の涙を流すアドリーの
頭を優しくティアは撫でながら此方も瞳から
溢れる涙を止めれずには居られなかった。
「………エルヴィス」
「………ああ、解るぜ……アイツ等に殴られるのは其れこそ…御免だな…」
「フフ……全く持って其の通りだ…。勝ち筋が見えないよ…」
「こんな喜んでくれんだな……戦いってのは悲しい事ばっかりだと思ってた…」
「俺達が言うのは違うかもしれないが…戦いの中で築き上げて来た絆もあった様だ」
隣に立ち合わせたエルヴィスとノアは穏やか
に心を澄み渡らせ此の景色を眺める。
そして、ロードとまたしても目が合う。
「今度は俺等がお前を救けてやる…助っ人にしちゃあ其れなりだと思うぜ?」
「ニャロウ……心強すぎるってのッ……!」
「姫様……進む道は少々逸れてしまいましたが此の先に…描いた未来があります」
「はわわわわっ……なんだかドキドキが止まりませんっ!!」
盛り上がりも見せる中でロード達の背後側の
座布団に腰を下ろしていた一人の男性だけが
全くと言って良い程に顔を上げれずに居た。
「………みんなっ……本当に…本当に…良かったっ………こんなに嬉しい日はありません…折れそうな毎日でしたが…生きていて本当に良かった……ッ!!」
「ザックさん、もう直ぐお開きです…皆と緩りとお話をしたらいいですよ」
俯いて涙に暮れるザックの背中をまるで聖母
の様に優しく撫でながら話すリア。
其れを見ていたマルク達も何だか胸の内側が
熱くなっている事であろう。
「フフフ………歓談の刻は一時お預けだ…皆の者……七日後の決行日に向けて詰めて置かなければならない部分が在る」
ディルの言葉を受けて一度、場が鎮まる。
そして、リゼアとソフィアが並べた座布団の
上に反乱軍と革命軍は坐して見せる。
左右の襖の前に置かれた二列の座布団。
話は、七日後の決行日へと切り替わった。
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