RISING 〜夜明けの唄〜

Takaya

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第十五篇第二章 夜明けを導く者達

絶望に射し込む希望

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ディルはこう、続けて行く。

現政府が抱える戦力を打破する事は今のまま
では相当に厳しいと言うのだ。



「フフフ……裏帝軍に監獄勢力、更には宰相お抱えの特命衛士………そして、歴代最強とも謳われる帝国軍の幹部達……其の総てを此処にいる面々だけで打破するのは困難だ……」


「な……ッ!?ディル……アンタ…勝つ希望がねぇってのかよッ………!」



ディルの口振りにロードは多少の苛立ちの様
を浮かべて焦りの表情を浮かべる。



「フフフ……言葉の通りだ。元帥ロストを始めとした…圧倒的戦力……ロストや大将達は此処に居る誰よりも…強いという話だ」


「………確かに、あのガルフさんが勝てなかった人間が向こうには居る……」


「いざ考えて見たら……それってヤバいよねっ…?」



ディルの言葉にシャーレとポアラが顔を互い
に合わせて困惑の表情を浮かべた。



「なんやお前らッ……なんのタメに試練っちゅうのを超えて来たんじゃ……シャキッとせんかいな」


「………シグマ、気持ちは解りますが敵の戦力を冷静に判断する事も重要です」



暗い雰囲気に声を上げたシグマだったが隣り
のレザノフから釘を刺され舌打ちをして下へ
視線を落とし俯いて見せる。



「はわわわわっ……なんとかならないんでしょうかっ!?」



シェリーの慌てた言葉に沈黙を貫いていた筈
の六撰将と死蜘蛛狂天達のメンバーが此処に
来て不思議な笑みを浮かべ始めた。

其の雰囲気にロード達は困惑を見せる。



「な、なんだよッ……アンタ等……こんな時にいきなり笑い始めやがって……」


「フフフ……ロード。私の言葉をよもや忘れた訳ではあるまいな……?」


「……言葉?…あッ!!なんか贈り物があるって……」


「ああ、そうだ。漸く明かす刻が来た……何故、私達がお前達の前に立ち塞がり試練を与えたか……何故、六撰将達を呼び出して此の場を設けたか……其れは決断させる為だったのだ」



ディルの言葉にロード達は息を呑む。



「お前達の意志は受け取った……後は縁あって私達もストラーダ国王達の為に力に成りたかった……だからこそ処刑迄の此の十日を有意義なモノとする事だけを考えた……」



ディルは左右に居たソフィアとリゼアの二人
に一度ずつ目配せを済ませると目を合わせた
死蜘蛛狂天の幹部達が頷き合う。



「さあ、良く目に焼き付けると良い……本来ならもう少し時間が掛かると思っていたのだがな……まさか三日の内に答えが出せるとは思わなかった……ロード、此れが私達からの贈り物だ……!」



ディルの其の言葉に合わせて其の和室に存在
した左右の襖がソフィアとリゼアの手に依り
一気に開かれて行く。

其の先に映し出された光景にロード達は完全
に呆気に取られて大きく口を開けたまま硬直
してしまうのだった。

さあ、最後の扉が遂に開かれる。
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