RISING 〜夜明けの唄〜

Takaya

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第十五篇第一章 篩分の門番

旅籠“ヒノマル”

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「アンタは……」



ロードは目を丸くして其の女性を見詰めた。



「覚えていてくれたのか?健気でやはり可愛いな……童貞くん…」



其処に現れたのは青い蜘蛛の刺繍を持つ白面
を身に付けたくノ一風の女性の姿。

ロード達にとっては久方振りの再会だった。



「………って、誰が童貞だッ…ニャロウッ!」


「……違うのか?」


「うるせぇってんだッ!!んな事今はどうでもいいだろうが……ッ!!」



顔を赤らめて大声を上げるロード。



「(童貞、であるか……)」


「(うん、何となくそんな気がしてた…)」



不思議と其の反応を見て頷いていたソフィア
とリゼアの視線にロードが気付く。



「なんだなんだッ……オメェ等まで…ッ…そんな目で俺を見んじゃねぇ!!」


「………レザノフ。“どうてい”とはなんでしょうかっ……?」


「フフ…別に悪い事ではありませんよ。聞き流しましょう…姫様」


「レザノフさんッ!!アンタまで何を気遣ってくれてやがんだッ!!」



何やら騒がしくなって来た所でディルの手が
其の女性の肩に置かれると声を掛ける。



「カグラ……私達は最後の準備を整えに行かねばならぬ…彼等が回復した後に旅籠へと連れて来て欲しい…フフフ…頼めるな?」


「はい、ディル様」



此の女性はカグラ・ミラハーミット。

一度、光の街セイントピアでシェリーを狙い
襲撃をして来た死蜘蛛狂天の構成員であって
ディルの直属の部下でも在る。



「……んっ……もうっ…うるさいなあ。気持ちよく寝てたのにっ」


「ポアラ様っ!!」



回復を始めた当初は意識があったのだが三人
揃ってシェリーの桃色の光に当てられた途端
眠りに付いていたのだが、恐らく其れが回復
の肝だと言う事が解った。

だが、此の慌ただしさで目が醒め行く。

其処には既にディル達の姿は無かった。

そして、順番に瞼を開いたポアラ達の視線の
先にカグラの姿が映り込んだ。



「……ッ……貴女は確か…あの時の……巨乳のッ………グハッ……」


「ドスケベはもすこし寝とけっ……!」



起きた筈のシャーレだったがポアラの手刀で
またもや意識が朦朧として倒れ込む。



「……ワイは寝てたんかいな…そや、アイツらどこへ行きおったんや?」


「ディル様達なら先に旅籠“ヒノマル”へと向かった…」



カグラからそう告げられたシグマはポカンと
した表情を浮かべて呟いた。



「………だれや、このねーちゃん…?えっらい乳デカいのう」


「そうだろうッ!?シグマッ……此の方は…グハッ……」


「しつこいッ……!」


「ハハ、シャーレのあんさんも大変やの」


「シグマ、それどうゆう意味ッ!?」


「な、なんでもないわッ……そないコワイ顔せんとき?ポアラ……」



ポアラに睨まれたシグマは額から汗を掻いて
タジタジになっていたが此処でカグラが緩り
と口を開いて見せる。



「元気になったと言えるな……では、先導する……向かおうか…旅籠“ヒノマル”へと」



此の先にディル達からの贈り物が在る。

ロード達は意を決して運命の地へと向かう。
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