RISING 〜夜明けの唄〜

Takaya

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第十五篇第一章 篩分の門番

瞬閃シグマvs暴竜ディル

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中心の鍛錬場では覚醒を果たしたシグマとの
激闘にディルが刃を交えていた。

黒刀に蒼き乱れ刃、ディルの愛刀はアラネア
から引き継ぎ、彼の意思が宿っている。

其のディルに対し、地を駆けながら槍を突き
萱草色の竜巻を前方に飛ばすシグマ。

しかし、覚醒を決めたシグマの攻撃は全くと
言っていい程にディルには届かない。

軽々と刀で其の攻撃をいなしてディルは地を
蹴ると今度はシグマの懐へと潜り込む。



「チッ……なんやコイツは……」



何とか身体を旋回して真横に避けたシグマの
視線を受けて立ち尽くすディルにシグマの心
は激しく動揺していた。



「(こない強いヤツ……ワイは初めてあったんやないか…?いや……疑問やない…確信や…ダントツやで…こんの不気味男……)」



体勢を立て直して槍を構える覚醒状態の姿の
シグマは恐怖で足がすくんでいる。

其れを見越してかディルが口を開く。



「フフフ……怖いか?私が……」


「な、なんやとォ!?バカにしおってからに……」


「……裏腹だな。そんな状態で……天下分け目の大戦に臨むつもりだったのか?」



ディルの言葉に黙り込むシグマ。

恐怖等、無い筈だった。

だが、目の前に広がる真実こそ彼が無意識に
心の底に沈めて来た本当の気持ち。

深層心理が引き摺り出されて行く。

しかし、シグマは笑った。



「………コワイからなんやっちゅうねん」


「………予想外の反応だな…フフフ…恐怖を前に狂ってしまったか?」


「そんなんやない……戦争を前にして恐怖っちゅうんを覚えんヤツのほうが狂ってるんとちゃうか?真っ当やで……ワイはな」



シグマの表情に笑みを浮かべるディル。

そして、シグマの放った螺旋状の竜巻の一撃
にディルは地を蹴って回避を選んだ。

だが、空中へ回避したディルの正面に疾風の
ギフトの特性“加速”を用いてシグマが瞬間的
に迫って行った。



「フフフ……迷いは最初から無かったという訳か……恐れ入った……お前の強さを過信していた様だ………」



小さな声で囁いたディルにシグマの槍の先端
が迫り衝突と共に突風が吹き荒れた。

だが、シグマに手応えは無かった。

そして、風が掻き消えて行く。

其処に在った姿にシグマは驚愕する。



「流水覚醒……“ 暴滅竜牙ストラグルファング”…………」



全身が暴竜ティラノサウルスの様に竜化して
肩から背に掛けて牙の様な防具が追加。

更には、額から頭部を守る様にティラノの頭
の様なヘルムを被り延びた爪と牙が凶暴な竜
を思わせる姿へと変化した。

初めて見せるディルの覚醒。

そして、其の威圧感に押されたシグマの槍を
受け止めていた刀が一気にシグマの身体ごと
地に向けて押し返して見せた。



「フフフ………久方振りだな。此の姿も……」



小さく呟いたディルは一気に宙から滑空する
様に刃を構えてシグマを狙う。
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