RISING 〜夜明けの唄〜

Takaya

文字の大きさ
上 下
656 / 729
第十五篇第一章 篩分の門番

“度胸と愛嬌”

しおりを挟む






ポアラは幼少期、こんな事を考えていた。



『ねぇ……ママっ?男の子はいいよねっ…力が強くてさあっ』


『ポアラ…アンタまたマーシャルの道場を見に行ってたでしょ?』


『……うんっ。でも女の子は危ないから…なんていわれちゃったっ……』



記憶に流れて来た幼少期のポアラの頭を其の
優しい手のひらで撫で上げた母は口を開いて
穏やかな口調でこう続けた。



『ポアラ?男の子がみんなみんな強いワケじゃないんだよ?パパとかマーシャルは強いけどね……強さって…優しさを持てるかどうかなのよ』


『やさしいと強いは…チガウ気がするんだけどなあっ……』


『そんな事ない。人に優しくあれる強さ…それを持てるかどうかで腕力じゃない…人としての強さが変わるの』


『ヒトとしての強さっ……?』


『……そう。それとね……女の子には男の子にマネの出来ない強さがあるのよ?』



優しく微笑んだポアラの母の表情と其の言葉
にポアラは不思議そうに首を傾げた。



『女の子の強さは……笑ってみて?うんっ…その笑顔……度胸と愛嬌……男の子には無い強さを女の子だけが持ってるの…だから辛い時ほど笑わなきゃ……ポアラならやれるっ!だってママの子だもんっ!』



ポアラの瞼は閉じたまま。

だが、変化が突如として起き始めた。

鍛錬場に連なり突き刺さった氷柱の群れ達が
翠色の重力を受けて地に沈み割れて行く。



「…………貴女も超えて行くのね…」



そして、ヒラリと妖精の羽根を羽ばたかせて
ポアラの身体がフワリと起き上がった。



「あたりまえだって…言ってるじゃんっ」



傷付いた身体を押して笑顔を浮かべたポアラ
にソフィアは呆気に取られてしまった。



「………余裕ね、笑顔なんて…」


「ちがうって…どんな苦しい未来が待ってるかわかんないから…笑うの。だって女の子の強さって…笑顔でしょっ?」



其の瞬間、だった。

ソフィアの足元に翠色の魔法陣が突如として
展開されると慌てて空へと飛ぼうと翼を広げ
地を蹴ろうとしたソフィア。

しかし、空に舞う事は出来ない。

何故なら其の翠色の魔法陣には大地のギフト
の特性“重力”が効力を発揮しているからだ。



「………しまったっ…」


「さっき言い損ねたけど…理想なんてアタシには要らない……アタシは…アタシ達は自分達のチカラで未来を勝ち取るんだからっ!その先に…みんなで笑える毎日があればそれでいいんだァァ!!!!」



ポアラが地を蹴り拳をグッと構えながら羽根
を用いて空を翔けて行く。

そして、翠色のオーラを纏う拳をソフィアに
向けて全身全霊で放った。



「絶技…… 精霊柔術・翠玉拳せいれいじゅうじゅつ・すいぎょくけんッッ!!!!」



ポアラもまた、己の限界を超えた。

笑顔の待つ未来を其の拳が開いて行く。

決意を込めた一撃を放ったポアラのチカラに
ソフィアは微かに笑みを浮かべた。

しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

[R18] 激しめエロつめあわせ♡

ねねこ
恋愛
短編のエロを色々と。 激しくて濃厚なの多め♡ 苦手な人はお気をつけくださいませ♡

マッサージ師にそれっぽい理由をつけられて、乳首とクリトリスをいっぱい弄られた後、ちゃっかり手マンされていっぱい潮吹きしながらイッちゃう女の子

ちひろ
恋愛
マッサージ師にそれっぽい理由をつけられて、乳首とクリトリスをいっぱい弄られた後、ちゃっかり手マンされていっぱい潮吹きしながらイッちゃう女の子の話。 Fantiaでは他にもえっちなお話を書いてます。よかったら遊びに来てね。

♡蜜壺に指を滑り込ませて蜜をクチュクチュ♡

x頭金x
大衆娯楽
♡ちょっとHなショートショート♡年末まで毎日5本投稿中!!

【R-18】クリしつけ

蛙鳴蝉噪
恋愛
男尊女卑な社会で女の子がクリトリスを使って淫らに教育されていく日常の一コマ。クリ責め。クリリード。なんでもありでアブノーマルな内容なので、精神ともに18歳以上でなんでも許せる方のみどうぞ。

隣の席の女の子がエッチだったのでおっぱい揉んでみたら発情されました

ねんごろ
恋愛
隣の女の子がエッチすぎて、思わず授業中に胸を揉んでしまったら…… という、とんでもないお話を書きました。 ぜひ読んでください。

校長室のソファの染みを知っていますか?

フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。 しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。 座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る

お嬢様、お仕置の時間です。

moa
恋愛
私は御門 凛(みかど りん)、御門財閥の長女として産まれた。 両親は跡継ぎの息子が欲しかったようで女として産まれた私のことをよく思っていなかった。 私の世話は執事とメイド達がしてくれていた。 私が2歳になったとき、弟の御門 新(みかど あらた)が産まれた。 両親は念願の息子が産まれたことで私を執事とメイド達に渡し、新を連れて家を出ていってしまった。 新しい屋敷を建ててそこで暮らしているそうだが、必要な費用を送ってくれている以外は何も教えてくれてくれなかった。 私が小さい頃から執事としてずっと一緒にいる氷川 海(ひかわ かい)が身の回りの世話や勉強など色々してくれていた。 海は普段は優しくなんでもこなしてしまう完璧な執事。 しかし厳しいときは厳しくて怒らせるとすごく怖い。 海は執事としてずっと一緒にいると思っていたのにある日、私の中で何か特別な感情がある事に気付く。 しかし、愛を知らずに育ってきた私が愛と知るのは、まだ先の話。

隣の人妻としているいけないこと

ヘロディア
恋愛
主人公は、隣人である人妻と浮気している。単なる隣人に過ぎなかったのが、いつからか惹かれ、見事に関係を築いてしまったのだ。 そして、人妻と付き合うスリル、その妖艶な容姿を自分のものにした優越感を得て、彼が自惚れるには十分だった。 しかし、そんな日々もいつかは終わる。ある日、ホテルで彼女と二人きりで行為を進める中、主人公は彼女の着物にGPSを発見する。 彼女の夫がしかけたものと思われ…

処理中です...