RISING 〜夜明けの唄〜

Takaya

文字の大きさ
上 下
646 / 849
第十四篇第三章 最悪の顛末

見据えるべき現実

しおりを挟む






「何をワーワーと騒いどるんだのう…ロード…外まで丸聞こえだってぇの」


「ランス……父さん達が………」



振り絞る様に声を出したロードに対しランス
は表情等、一切変えずにこう、話した。



「……ロード、俺等が何で水面下に潜りわざわざ六撰将なんてモンを立ち上げたと思っとるんだってぇの……お前の親父さんも俺等もコノ状況を予測しとった」


「……なんだって…?」



其の言葉にロード達は静まり返る。

そして、ランスが続ける。



「俺等が国王様と描き上げた“絵”の画竜点睛を済ませるんは…今だって言ってんだってぇの……だからコノ十日は…総仕上げの前段階だろうのう……」


「絵…?仕上げ…?ワケわかんねぇよ…なんで処刑の事まで予測できてやがった…?」



ロードは混乱の境地に居る。

ランスが話す言葉の総てに疑問符を感じて
しまう今の心持ちでは理解は遠いだろう。

だがしかし、ランスから明確な指示が飛ぶ。



「取り敢えずは…出発の準備を全員整えるんじゃ今からのう…俺等は一度…空の街スカイニウムへと向かう」


「空の街……?王都じゃなくてかよ…父さん達は王都に捕まってる……救けに行くならなんでそんな寄り道すんだッ!!」



ロードの言葉にレザノフが声を放つ。



「プレジア政府は…処刑日を十日後とわざわざ公開致しました…。此れは恐らく…いえ十中八九……プレジア国王の関係者達を誘き出す為でしょう……」


「其の通りじゃ……んでもって其の関係者っちゅうんは俺等のコトだのう……だから其れに乗るんだってぇの……しかも此の十日を有意義に使っての」



ロード達は目を丸くしていたが、ランス等に
とっては漸く訪れた好機と捉えているのかも
しれないと感じたシャーレ、ポアラは直ぐに
行動を開始しようと心を決める。



「………姫様、姫様の御意志とあらば…私は此の戦いに身を投じます…如何…致しましょうか……?」


「ロード様のピンチに無関係なんてコトはありません……もちろん、お手伝いします…!」


「……なんや、ソレでええんならゴチャゴチャ小難しいコトいらんかったやんけ…ワイも行くで…!」


「みんな……ッ!」



バルモア勢の熱の上がり方にロードもやっと
表情をほんの少し緩ませていた。

そして、此処でランスから声が飛ぶ。



「後、此れだけは伝えておこうかのう……空の街スカイニウムにはとある呼び出しがあったから向かう……呼び出し人は…あの死蜘蛛狂天の幹部達だってぇの……」


「「…………ッ!」」



一斉に驚きを見せたロード達の頭の中に彼等
の顔が順番に浮かんで行く。

最後の刻を目前に控えて動き始めたのは何も
政府の人間達だけではない。

ロード達、そして六撰将、バルモアの面々も
其々が前を向いて歩き始める。

そして、其の先に待つのは物語に何度も混迷
を齎して来た死蜘蛛狂天。



さあ、最後のピースを此処に記して行こう。



しおりを挟む
感想 37

あなたにおすすめの小説

もしかして寝てる間にざまぁしました?

ぴぴみ
ファンタジー
令嬢アリアは気が弱く、何をされても言い返せない。 内気な性格が邪魔をして本来の能力を活かせていなかった。 しかし、ある時から状況は一変する。彼女を馬鹿にし嘲笑っていた人間が怯えたように見てくるのだ。 私、寝てる間に何かしました?

学園長からのお話です

ラララキヲ
ファンタジー
 学園長の声が学園に響く。 『昨日、平民の女生徒の食べていたお菓子を高位貴族の令息5人が取り囲んで奪うという事がありました』  昨日ピンク髪の女生徒からクッキーを貰った自覚のある王太子とその側近4人は項垂れながらその声を聴いていた。  学園長の話はまだまだ続く…… ◇テンプレ乙女ゲームになりそうな登場人物(しかし出てこない) ◇ふんわり世界観。ゆるふわ設定。 ◇なろうにも上げています。

仰っている意味が分かりません

水姫
ファンタジー
お兄様が何故か王位を継ぐ気満々なのですけれど、何を仰っているのでしょうか? 常識知らずの迷惑な兄と次代の王のやり取りです。 ※過去に投稿したものを手直し後再度投稿しています。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

日本列島、時震により転移す!

黄昏人
ファンタジー
2023年(現在)、日本列島が後に時震と呼ばれる現象により、500年以上の時を超え1492年(過去)の世界に転移した。移転したのは本州、四国、九州とその周辺の島々であり、現在の日本は過去の時代に飛ばされ、過去の日本は現在の世界に飛ばされた。飛ばされた現在の日本はその文明を支え、国民を食わせるためには早急に莫大な資源と食料が必要である。過去の日本は現在の世界を意識できないが、取り残された北海道と沖縄は国富の大部分を失い、戦国日本を抱え途方にくれる。人々は、政府は何を思いどうふるまうのか。

【完結】あなたに知られたくなかった

ここ
ファンタジー
セレナの幸せな生活はあっという間に消え去った。新しい継母と異母妹によって。 5歳まで令嬢として生きてきたセレナは6歳の今は、小さな手足で必死に下女見習いをしている。もう自分が令嬢だということは忘れていた。 そんなセレナに起きた奇跡とは?

【完結】竜人が番と出会ったのに、誰も幸せにならなかった

凛蓮月
恋愛
【感想をお寄せ頂きありがとうございました(*^^*)】  竜人のスオウと、酒場の看板娘のリーゼは仲睦まじい恋人同士だった。  竜人には一生かけて出会えるか分からないとされる番がいるが、二人は番では無かった。  だがそんな事関係無いくらいに誰から見ても愛し合う二人だったのだ。 ──ある日、スオウに番が現れるまでは。 全8話。 ※他サイトで同時公開しています。 ※カクヨム版より若干加筆修正し、ラストを変更しています。

悪意のパーティー《完結》

アーエル
ファンタジー
私が目を覚ましたのは王城で行われたパーティーで毒を盛られてから1年になろうかという時期でした。 ある意味でダークな内容です ‪☆他社でも公開

処理中です...