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第十四篇第三章 最悪の顛末
悪夢の再会
しおりを挟むそして、ニヤリと笑みを浮かべたガズナの手
に握られていた鎖が無造作に引かれる。
すると後ろ手に拘束され鎖に繋がれた首輪に
体勢を崩し一人の赤髪の女性がガズナの足元
に膝まづく形で姿を見せた。
「…………まさか…」
ストラーダの驚愕の表情にガズナはまるで
其の表情が見たかったのだ、と言わんばかり
に不敵な笑みを浮かべる。
「まさか…とは失敬ですぞ。国王様……貴方が生涯の中で唯一愛した女性じゃろうて…」
「…………サーラッ……」
「そうじゃ。サーラじゃ……サーラ・ヘヴンリー……探すのに本当に手間取った……此奴はどんな手を使ったか解らぬが…バルモア王家ノスタルジアの侍女として王宮に入っておった……じゃが、遂に身柄を捕らえた……此の意味が解るじゃろう?国王様…いや大罪の謀反者…ストラーダ・ケーニッヒッッ!!」
サーラは俯いたまま顔を上げずストラーダも
また、拳を握り締め身体を震わせた。
「貴様の歴史にポッカリと空いた空白の十年間……漸く其の真実を手に入れたんじゃ…ワシらはな……薄汚れた罪を隠し、此れ迄ワシらプレジアの民を騙し続けた罪は重い……危うく混血の国王が生まれるトコじゃったわ」
ガズナの言葉にストラーダとサーラはピクリ
と反応をしてしまう、其の反応こそがガズナ
にとって此処最近の政府内で騒がれ台頭して
来た青年の真実を手繰り寄せる事となる。
「ロード・ヘヴンリー……あの男が貴様等の子供である事はもう…言い逃れ出来んぞ」
ガズナの言葉は二人に絶望を与えた。
「さあ、終わりにするのじゃ。薄汚れたケーニッヒ王家の時代を…総ては貴様が王家を身勝手で離れ…好き勝手に生きた事が引き金を引いたのじゃ……此の顛末こそ…現実じゃよ。ストラーダ……ッ!!」
ガズナが話し終えると男女一人ずつの側近が
鎖に繋がれた首輪と手枷を用意し前に出る。
「手間は取らせんで下さい…もう充分に人生の愉悦は愉しんだでしょう?」
「国王様…貴方の時代を終える事により私達にとって…真実の豊かさが此の国に繁栄するのです……」
ガズナの左右から現れたのは選抜され宰相の
警護役を務める“宰相警護特命衛士”。
身なりの良いスーツ姿に垂れ目と白い手袋が
特徴的な男性アダム・リスキーノ。
同じくパンツスーツ姿に眼鏡を掛け才女感を
漂わせる女性イヴ・パルテナス。
両者は宰相警護特命衛士という肩書きを持つ
傍らで政府内の重要な役目を担っている。
共にケーニッヒ王家誕生の三百年前より王家
に尽くし代々其の家系が部門を背負う。
リスキーノ家は代々、政府内、そして国家の
財政を担う財務大臣の座。
パルテナス家は代々、国家の持つ環境保全に
務めて来た環境大臣の座。
此の両家に防衛省のトップ、テラモーノ家と
法務省のトップ、レイノルズ家。
此の四家を含め残り二つの家柄を足した六家
こそ王家を支えて来た功労者の家系である。
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