RISING 〜夜明けの唄〜

Takaya

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第十四篇第二章 大蜘蛛を背負う者

感恩戴徳の日々 “蜘蛛”

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ランスとガスタ。

此の二人の細々とした裏からの支援の正体も
完全に二人に知られてしまった事で気兼ねの
無い来訪が当たり前に変わって行った。

其の中で、此の川辺を西へ進んだ先に在る滝
の下が釣りの穴場だとストラーダはランスに
教わると釣りがストラーダにとっての最近の
マイブームの様になっていた為、其の日の内
に其の滝へとストラーダは軽い足取りで行く
事を決めるのだった。



「穴場と来たか……さてさて…どんな大物が釣れんのかね……サーラのヤツ…飯作んのウメェからなあ……気合いで釣るぜッ!」



ストラーダは滝に着いても無ければ一匹もの
釣果すら得ていない状況で既にサーラの作る
手作り料理に唾液が垂れそうになる。

そして、辿り着いた滝は綺麗な水の流れと鳥
の安らぎの在る鳴き声、そして全身に流れて
止まらない美しい空気。

ストラーダは深呼吸をして薄く木々の隙間
から射し込む太陽の光を両手を広げ浴びると
しみじみと言葉を漏らす。



「なんか……最近…生きてるって気がすんなあ…ホント…」



王家としての重圧や他の人間達とは全くと
言って良い程に違固い決まりの中で恐らく彼
は疲れ切っていたのだろう。

釣り糸を垂らし、獲物が掛かるまで待つ。

こんな時間も彼にとっては最高の癒し。

ゆっくりと流れる時間の中でストラーダは
擦り切れた心を癒やしていたのだろうか。

そんな折に、多少離れた滝の上から何か人間
サイズのモノが落下してくる。

だが、先程から流木も良く流れて来る為、彼
は驚く事も無かったのだが滝から落ちて来た
モノが水面に浮かび上がるとストラーダから
の視線は其処に釘付けになる。



「…………デッケェ……蜘蛛?」



ストラーダは浮かび上がったモノに描かれた
様な大きな蜘蛛を目に入れる。

だが、状況が完全に把握出来ておらずに其れ
が人の背中に描かれた蜘蛛の刺青だとは未だ
理解し切れていない。

そして、其の蜘蛛がゆっくりとストラーダの
眼前を水に流されて行くのを見届けゆっくり
立ち上がると表情を一変させる。



「って…アレ、人間の背中じゃねぇかァァァァ!!!!」



急に慌て出したストラーダは何の躊躇いすら
無く川へと飛び込むと其のガタイの良い男性
を抱えて川岸へと辿り着いた。



「オイッ!!アンタ……大丈夫かよッ!息してんのかコレッッ!!」



陽射しの下に大の字で寝かされた其の黒髪の
大男は濡れた身体を突然震わせて口の中から
まるで噴水の様に水を吐き出した。

そして、ムクッと上半身を起こすと左右に目
を向けて頭をガシガシと掻いて口を開く。



「………寝てたッ…!」


「……って、んなワケあるかァァ!!」



素っ頓狂な事を口走った其の大男に反射的に
ツッコミを入れるストラーダ。

そして、其の横で何を気にする事も無く身体
を伸ばして欠伸を始める大男の姿があった。

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