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第十四篇第一章 追憶の遭逢
運命の岐路 “援助”
しおりを挟むストラーダは掃除に洗濯と今迄、やった事等
無かった分野に勤しんでいた。
何とか安定した呼吸を取り戻した其の女性の
姿を横目にストラーダは安堵する。
そして、らしさも戻って来た。
「腹減ったな……」
ストラーダは自身の腹の音に驚きながら人間
の其の欲には勝てないとばかりに女性の為に
も食料の調達を目指した。
すると、川辺の近くに先程迄は無かったモノ
がストラーダの視界へと入る。
「なんだこりゃ……んと?釣り竿……火起こし器…工具類……木材……?」
ストラーダは首を傾げると川辺の奥の方より
ガサガサと茂みの中で物音が聞こえた。
「バ、バレてねぇよなッ……!?」
「いやランス。私達とは気付かなくても誰かが手回したのはバレたであろう……」
「んなコト言ってもよッ!?ストラーダ様の初の冒険だろ!?なんかしてやりたくなるんが将来の側近候補の想いよ!だろ?ガスタ」
「冒険では無い……言ってみれば只の家出だ……」
茂みの中でストラーダからの視線を逃れつつ
声を交わしていたのは若かりし頃のランスと
ガスタであった。
恐らく政府からの命で来たはいいモノの女性
を救けようと奮闘するストラーダを見て声を
掛ける時を失ったのだろう。
「つーワケで、ガスタ。俺はもっともっと何かを調達してくるからよッ!!見張り頼んだッ!!」
「あっ!!……ってもう居ませんし。まあ…ストラーダ様が納得するまでやるのを見守りますか……」
ランスが居なくなった茂みの中でガスタは瞳
を凝らしてストラーダの監視を続ける。
「………はぁ……まあ助かるけどよ……もうちょいなんかねーのかよッ……あんニャロ共がッ……!」
呆れた様にストラーダは釣りを始める。
そして食料を整え、火起こし迄を済ませた後
で汗だくになりながらもトンテンカンと槌の
音を響かせながら家屋の修理を始めた。
「もし…住人が戻って来ても…家を綺麗にしてやったら許してもらえっかな…?まあきっと話せば解るだろ」
ストラーダの奮闘劇は続く。
だが、そんな中で軽快に響いていた槌の音色
に遂に赤髪の女性が目を覚ます。
其れに気付いたストラーダは部屋の中を覗き
込むと無類の達成感を秘めた笑みを溢す。
「おっ!目ェ覚めたかよ…怪我の具合はどーだ?」
上半身を起こし眠気まなこを指で擦り視界を
安定させようとした其の女性が漸く駆け寄る
ストラーダの姿を認識する。
そして、思わぬ反応が待ち受けた。
「きゃあッッ!!だれッ……アナタは…そしてここはどこよッ!?」
身震いを繰り返しながらシーツを腕に抱えて
壁際に後退りを始めた其の女性。
「待ってくれッ!!まあ、そうだよな……アンタ…麓で倒れてたんだ……俺は通りすがり…見過ごせなくてこんなトコまで連れて来ちまったけど…怪しいモンじゃねぇ!」
ストラーダは両手を上げて自身の存在が女性
にとって脅威でない事をアピールした。
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