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第十四篇第一章 追憶の遭逢
運命の岐路 “王家”
しおりを挟む物語は、過去へと遡る。
刻は、二十五年前の王家ー。
物語に残された二つのキーポイントの一つは
ストラーダ・ケーニッヒという男の過去の中
にひた隠しにされていたのだ。
さあ、解き明かしを始めようか。
ストラーダ・ケーニッヒ十五歳の物語だー。
プレジア王家第十四代国王リオスの元に命を
授かった二人の兄弟がいた。
兄、エヴィア・ケーニッヒ。
そして、弟、ストラーダ・ケーニッヒ。
互いに実子となる此の兄弟の運命は幼少の頃
より既に定まっていたのだろう。
何故なら、二人には同じ兄弟であるからこそ
必要な争いを演じなければならない。
其れが、王家の跡目争い。
三つ歳上の兄、エヴィアは稀代の天才として
若き歳の頃から其の才能を遺憾無く発揮して
おり兄と弟の相関図から見ても兄のエヴィア
が第十五代を継ぐ事は明らかと大抵の人間の
目からはそう見られていた。
其れは兄エヴィアが前述の通りの男だったと
言う事ともう一つの事由が折り重なった為の
世論だったが、其の事由とは弟ストラーダの
才能の無さが原因であった。
天才の兄と、凡才の弟。
リオス・ケーニッヒの父親としての目線では
無く国王としての目線からも王家の継承の事
だけを考えれば兄エヴィアの継承はほぼ規定
の路線である事を悟らせる。
そんな折に、ストラーダは兄エヴィアに同行
しとある戦場へと向かう事となる。
勿論、其の戦争とは鎖国を足掛かりに対立の
立場となったバルモアとの戦争。
此のバルモアとの対立の歴史は現在の冷戦期
を数えて、約百年に及ぶことから後に歴史書
に描かれ語られる名は“百年戦争”。
其の百年戦争の中でバルモアの侵攻は翳りを
見せずにプレジアへと降り掛かっていた。
そして、ストラーダが同行した此度の戦争は
プレジアにとっては大きな戦いとなった。
其れは兄エヴィアの指揮官としての華々しい
初陣となる日であったからだ。
当時の国王直下帝国軍の戦力達を率いての初
の戦場でエヴィアには大きな期待が注がれて
いる事は明白である。
何故なら、此の男こそが父であり第十四代の
国王を冠するリオスを、継承せし国家の未来
だからであった。
「(なんて物々しい空気なんだ……これが戦争か……?)」
決戦の地へと向かう帝国軍の編成隊の中央に
護られながら馬車に腰を下ろすストラーダ。
其の一つ前の席に腰を下ろした兄エヴィアは
そんな弟の姿を見て一笑に付した。
「何を緊張しているのだ?弟よ。我々が先陣を切って戦場に立つ訳では無い……我々の使命は駒を動かし戦争に打ち勝つ事。本部から高みの見物さ……」
「……そうは言ってもよ。兄さん……こんな重たい空気…俺は初めてだ……」
「関係ないぞ…ストゥよ……。痛みは駒達が引き受ける…我々には何の痛みも伴わなぬのだから」
ストラーダはそんな兄の冷酷な言葉に表情を
強張らせ考え方の相違を感じていた。
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