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第十三篇第五章 生まれながらの枷
風を裂く銀狼
しおりを挟む「……アイツは」
「何故、あの男が此処に……突入を許したと言うのか……?」
天空天守から見下ろすロストとガズナの視線
に舞い込んで来た銀髪の青年。
其の青年は銀色の疾風を纏いながら建物の上
を器用に駆け回り卍型の手裏剣を彼の持って
いた刀を用いて一瞬で弾き落とす。
すると、シルヴァの身体を抱き抱えた。
「…………何をしている…?」
「済まんな、遅くなった……シルヴァ」
「何故…謝っている?何故、此処にいる?何故だ…何故だ…何故だ…ッ!!ノアッ!!」
混乱の中で声を荒げたシルヴァの肩を抱えて
視線の先に居たのは何と独立師団革命軍総長
ノア・クオンタムであった。
「先ずはさっさと此処からお暇しよう。もう用は無いのだから……」
ノアはシルヴァから一度視線を外すと頭上に
聳える天空天守に立ち尽くす帝国軍の元帥を
冠するロストを睨み付けた。
そして、銀色の疾風となって帝国軍本部から
戦線離脱を計って行った。
「……彼奴は…革命軍の裏切り者じゃろう?何故、革命軍の総長が救いに来るのじゃ……」
「追うか?」
「………いや、いい。深手ではあったろう。手を下さずとも直に死に絶える…。其れよりもじゃ……」
着物の裾を翻して執務室へと戻って行く宰相
ガズナの背をロストも追って行く。
「……彼奴が生きておろうが…今夜、裏帝軍が失敗を重ねようが……ワシ等は既に最後のピースを手にしたのじゃ。仕上げと参ろうの…此の計画を……」
「やっと終わんのか?」
「いや…其れは違うぞロストよ。始まるのじゃ……新たな時代がのう……!」
不気味に笑ったガズナの背後で無表情を貫く
ロスト、此の二人の元に一人の密偵が訪ねて
来ると、膝を付いて一つの報告をする。
其れはーー。
『とある重要人物を港まで護送完了。此れより指定地迄、送り届ける』
という、内容の報告であった。
一気にガズナの表情が闇を帯びた様にニヤリ
と不敵に恐怖を醸し出して行く。
「あの一族の失敗で一度は頓挫したが……バルモアに情報拠点を作る事は後に達成されておったんじゃ……其の成果が遂に今ッ…!!」
ガズナは両手を上げて高らかに歓喜の笑い声
を上げて何かを確信に至る。
「永かった……しかし遂に……ワシのワシ等の悲願が成就する……奴等の怯え、焦り、たじろぐ姿が目に浮かぶ様じゃ……ロストよ。其の道を歩むのは……共にじゃぞ」
「……………解り切った事、抜かすなよ」
笑みを浮かべてガズナは帝国軍本部の執務室
から足早に外へと出て行った。
時代が動くー。
其の刻は、刻一刻と迫っているのだろう。
其々の思惑が暗躍し対立を極めて行く中、誰
がどう動き誰が何を掴むのか。
キーマンは此の護送船に因ってプレジアの港
へ送り届けられた、其のたった一人の人間。
夜明けは、近いーーー。
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