RISING 〜夜明けの唄〜

Takaya

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第十三篇第五章 生まれながらの枷

ベールを脱ぐ暗黒のギフト

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「御主にはもう…一族も居ない。革命軍との繋がりも壊された……御主を救う者は此の世にはおらんぞ…」



ロストの背後でガズナが冷たく笑う。

天空天守の白い石床を転がって行くシルヴァ
は体勢を立て直すと低い体勢から静かに歩み
来るロストに向かって駆け出して行く。

そして、小刀を構えるとシルヴァはマスクの
下で怒りのままに声を上げる。



「疾風覚醒……“ 影踏風忍シャドウバニッシュ”ッッ!!」



シルヴァの身体が覚醒を遂げる。

すると、口元から首元を長いマフラーの様な
モノが巻かれて背中側へと伸びてジャッカル
の様に耳が長く空へと向かう。

更に瞳が黄金へと変わると、卍型の手裏剣が
双つ、肩上に浮遊した。

そして、シルヴァは其の卍型の手裏剣双つを
ロストに向かって飛ばして行った。

此の手裏剣双つが、シルヴァの先制攻撃。

其の手裏剣がロストに届く手前でシルヴァの
身体に月白色の疾風のオーラが纏われる。



「疾風絶技………」



シルヴァは一気に地面を蹴り上げる。

そして、彼の最高の出力で眼前のロストをも
破り背後のガズナの首を狙うのだ。



影踏風雲斬かげふみふううんざんッッ!!!!」



疾風のギフトの特性、“静寂”を身体に纏って
目にも止まらぬ音無き剣閃を叩き込む大業で
一気に決めに掛かる。

しかし、シルヴァの眼前に驚きの光景が現実
として映り込んでしまうのだった。

ロストが片手を前に突き出すと何と其処から
暗黒色のブラックホールの様なモノが出現し
まるで空間を削り取ったかの様に飛ばされた
シルヴァの手裏剣を吸い込み視界から消して
しまったのだ。

だが、絶技はもう起こっている。

シルヴァの剣閃は既に止まれず何の冗談かと
解らないままロストへと突っ込んだ。



「総ては無に還るんだよ……理解出来なくともしろ。此れが現実だ」



ロストが片手を下ろすと其処で手のひらから
出現したブラックホールが消える。

だが、今度は左手の手のひらを自身の顔の前
に翳すと更なる衝撃がシルヴァを襲う。

何と絶技発動中だった筈の自身の身体から
覚醒だけでなくギフトのオーラ迄が消えた。



「何だ……とッ……!」



そして、生身の身体のままでシルヴァは其の
勢いを止められずロストへと突っ込む。

だが、何のチカラも無いシルヴァの攻撃など
ロストに届く筈も無くロストは足を前方へと
突き出すと今度は力強く右の拳でシルヴァの
頬を殴り天空天守の石床へと殴り落とした。

石床に巨大な地割れの様なヒビが入る程其の
男の一撃は重たいモノであった。



「こ、此れが………あ、暗黒の……ギフト…のチカラ……だと言うのか……」


「ああ、そうだ。テメェが放つ、言葉も技も俺に届く事はありえねぇよ」



そして、冷たく言い放ったロストはシルヴァ
の身体を無造作に掴むと天空天守の空中との
境界線へと緩りと歩いて行く。

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