RISING 〜夜明けの唄〜

Takaya

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第十三篇第五章 生まれながらの枷

降り掛かる現実

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「そんな過去話は…我にとって…どうでもいい事だ……其れよりも貴様等の口から説明を求めなければいけない事が在る……」



黙り込んでいたシルヴァから今度はガズナに
向けて、問い掛けが始まった。



「何処に向かっていたかを知っていたなら…教えて貰おう……我の一族は何処に行ったというのだ…?」



冷たく暗い威圧感を発しながら口元を覆った
布越しにもハッキリと言葉が飛ぶ。

シルヴァはあれ以来、一族と手紙を書き合い
互いの現状を教え合っていた。

だが、其の手紙が最近、途切れた。

シルヴァが条件を呑む上で破ってはならない
政府からの条項の中に一族との接触がある。

其れは反逆の一族が外の情報を得て二度目の
反旗を翻す事を危惧してだった。

だからこそ手紙の受け渡しも慎重に起こして
来ていたし、シルヴァは其の条項を此れまで
破る事は無かった。

だが、今回ばかりは無理だった。

一週もの間、連絡が無かった事をシルヴァは
訝しんでいたが当時はレアドキルナの戦いの
準備と決戦の狭間にあり身動きが取れず任務
を遂行し切った事で満を辞して地底路掘削業
が行われていた政府の施設へ向かったのだ。

しかし、其処は間抜けの殻だった。



「……さあ、答えろ。一族の皆は何処に行ったのだ……?」


「処刑したよ。彼奴等はな……」



ガズナの言葉に初めてシルヴァの表情が完全
に崩れて怒りが沸々と湧いて来ていた。



「………貴様……密約を破ったのかッ…!?」



シルヴァから初めて震えた様な声が漏れると
ガズナは呆れた様に溜息を吐く。



「御主達が裏でコソコソと情報交換をしておったのをワシが知らんとでも思っておったのか……?」


「……ッ!!」


「じゃがの。処刑の理由は其れでは無い。彼奴等は………御主に隠れて…反逆の準備を整えておった。だから処刑したんじゃ……」


「……皆が……何故だ……」


「知らぬわ、そんな事はの。にしても……目も当てられん程にバカな奴等じゃのう?」



不敵な笑みを浮かべてそう言い放ったガズナ
に対して、遂にシルヴァの堪忍袋の緒が完全
に切れてしまっていた。



「貴様ァ……我が一族を愚弄するかァァ!」



シルヴァの冷静沈着さは完全に失われた。

そして、腰元の小刀を引き抜くと一気に床を
蹴り上げガズナへと向かって行く。



「そう来ると思っておったわ……ロストよ」


「ああ……」



ガズナからの命を受けたロストが徐に其の場
に立ち上がるとほんの一瞬で移動しシルヴァ
の小刀を片手で掴んで受け止める。



「離反、って事でいいな?テメェは」


「………もう貴様等に対して…尻尾を振る義理は無い…!」


「なら良かったよ……革命軍の奴等に裏切りがバレたテメェは…用済みだからな…」



ロストはそう冷たく言い放つとシルヴァの刀
を身体ごと振り上げて天空天守へと勢い良く
放り投げて見せた。

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