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第十三篇第五章 生まれながらの枷
ホーリーセンスの一族の罪
しおりを挟むホーリーセンスの一族が歴史上に於いて知る
人ぞ知るという立場になった理由には影の中
に生きる一族という他にもう一つ在る。
其れは、名を変え、姿を変え、選ばれた場所
に潜伏をするのを得意とした為、シルヴァの
生まれたホーリーセンスの一族の名は其の場
には現れなかったのだ。
話を戻すと、此のバルモア残留兵達を上手く
活用し、同国の人間で在ると悟らせ、数年前
からの下地で脱出する船は在ると知らせる。
そして、其の残留兵達を利用し、バルモアの
海岸線を見張る海の関所を突破する。
そうすれば、バルモア国への侵入が可能。
更に、其の侵入後に連れ帰ったバルモア国の
残留兵では無くホーリーセンスの一族に政府
から渡されたプレジア内部の偽情報を渡せば
逆にバルモアからプレジアへの航路の渡航船
が出される手筈の算段迄が立っていた。
其の一大任務を任されたのがシルヴァの父で
在るゴルド・ホーリーセンスであった。
ゴルドは、シルヴァの父で在り、里の中でも
長と呼べる有権者であったのだ。
其れが大事件発生迄のプロセスで在る。
「ワシはあの時、宰相という立場を授かったばかりの新参でな…宰相として王家に汲み入る為には良き策であると感じていたのじゃよ…しかし…ゴルドという男は此の任務を見事に白紙に戻してくれおったんじゃ……」
長年、密約を交わしながら政府の力となって
来ていたホーリーセンスの一族に於いて此の
様な失敗は過去には無かった。
其れが、何と其の時にだけ起きたのだ。
其れだけならまだしもである。
バルモアに渡航する為の船そのものが残留兵
達に奪われ、作戦の失敗だけでは無く鎖国を
施した此の国の情報を持って残留兵達を態々
バルモアへと送り返してしまう形となった。
此れが起きてしまった理由は不明なまま。
何故なら、其の任務内でゴルドだけが其の命
を落としてしまったからである。
「全ては謎のまま……じゃが、良からぬ思惑が働いていた事は確実…そうじゃろ?シルヴァよ……」
ガズナにそう問い掛けられたシルヴァは此の
時は表情を変えずに黙り込んでいた。
「何処から情報が漏れたかは解らぬ、じゃが御主の父、ゴルド・ホーリーセンスはバルモアとも密約を交わしていたんじゃ。そして政府内のワシ等の首さえ狙っておった……」
シルヴァの父、ゴルド・ホーリーセンスの手
に依って仕掛けられた大事件の発端。
其れこそ、バルモアへの寝返りであった。
そして、其れを知った宰相ガズナの手に依り
十年前のとある日にホーリーセンスの一族は
里中の民から全て捕縛されていた。
其の捕縛者は総勢、五十名。
其の五十名は、シルヴァを除いた全員が十年
もの間、政府の進める地底路の掘削作業の為
奴隷として、檻と作業場へを往復する生活を
強いられていたのだった。
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