RISING 〜夜明けの唄〜

Takaya

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第十三篇第五章 生まれながらの枷

大罪を背負う者

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「……そうか。ならば何故…我に其の事を伝えなかった……?」



シルヴァからの問いにガズナは首を傾げる。

そして、不適な笑みを浮かべるとシルヴァに
対して冷たくこう告げた。



「御主の生かされている理由があの者達が消えようと変わる事は無いからじゃ。のう?大罪の一族…ホーリーセンスの者よ…」



シルヴァ・ホーリーセンス。

彼の一族は、政府にとって途轍もない程に
忌み嫌われる特殊な一族であった。



「…我は、其の業を背負い……今日迄、政府の犬という立場を全うして来た……」


「そうじゃ。其れがワシが御主を生かした理由……まさか、自分の意志で生きて来た等と勘違いした訳ではあるまいな。御主は傀儡、ワシ等の思う様に動く道具であるぞ…」


「…………傀儡として、革命軍に入隊し…影の任務を全うする為、幹部という肩書きを手に入れた……」


「其処は見事という他無いの。政府からのスパイとしてようやったの。だが、其れも御主の家系では当然と言えるじゃろう…」



シルヴァとガズナ、此の二人の会話がまるで
マシンガンの様に続いている中でシルヴァが
生まれたホーリーセンスの一族の話を此処で
しておくとしよう。

ホーリーセンスの一族。

此の一族は闇の街ヘルカイウンのとある山奥
の村落であるイニシャナの里に根付く前時代
から歴史を持つ家系である。

だが、しかし。

其の名は決して、表に出る事は無い。

何故なら、ホーリーセンスの一族とは正しく
影、忍の家系なのだ。

政府から見たホーリーセンスの一族とは影の
スパイ、暗殺、密偵等をこなす暗躍者達。

決して、表沙汰には見せないが其の家系の力
をプレジア政府は頼りにして来た。

だが、其のホーリーセンスの一族が政府との
密約を交わし暗躍していた時代にとある事件
が起こっていた事を世間は知らない。

其れは今から十年前の大事件。

敵対するバルモアとの戦争の火種を此の時点
で大きくさせない為にとある場所にシルヴァ
が生まれたホーリーセンスの一族はいた。

此の時、シルヴァの父親達を中心にしていた
ホーリーセンスの雇用部隊はバルモアからの
部隊として送り込まれた筈が戦いの中で逸れ
残留兵となった者が地下に潜伏している情報
を仕入れて来た。

其の情報を政府に売り、情報代を手に入れる
為に動いたホーリーセンスの一族に政府から
追加での任務が言い渡された。

其れは、敵国潜入へのキッカケを作る事。

戦争に勝利する為に必要な物の中には必ずと
言っていい程に“情報”というモノが在る。

此処で政府が手に入れたかったモノとは此の
残留兵達を活用しバルモアの土地に此方側の
情報収集拠点を作る事であった。

今回、ホーリーセンスの一族に当てられた
任務とは、バルモアの残留兵であるという
偽の情報を使い、其の残留兵達と共に敵国に
渡り情報収集拠点となる場所に目星を付けて
戻ってくるという任務であった。

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