604 / 882
第十三篇第五章 生まれながらの枷
大罪を背負う者
しおりを挟む「……そうか。ならば何故…我に其の事を伝えなかった……?」
シルヴァからの問いにガズナは首を傾げる。
そして、不適な笑みを浮かべるとシルヴァに
対して冷たくこう告げた。
「御主の生かされている理由があの者達が消えようと変わる事は無いからじゃ。のう?大罪の一族…ホーリーセンスの者よ…」
シルヴァ・ホーリーセンス。
彼の一族は、政府にとって途轍もない程に
忌み嫌われる特殊な一族であった。
「…我は、其の業を背負い……今日迄、政府の犬という立場を全うして来た……」
「そうじゃ。其れがワシが御主を生かした理由……まさか、自分の意志で生きて来た等と勘違いした訳ではあるまいな。御主は傀儡、ワシ等の思う様に動く道具であるぞ…」
「…………傀儡として、革命軍に入隊し…影の任務を全うする為、幹部という肩書きを手に入れた……」
「其処は見事という他無いの。政府からのスパイとしてようやったの。だが、其れも御主の家系では当然と言えるじゃろう…」
シルヴァとガズナ、此の二人の会話がまるで
マシンガンの様に続いている中でシルヴァが
生まれたホーリーセンスの一族の話を此処で
しておくとしよう。
ホーリーセンスの一族。
此の一族は闇の街ヘルカイウンのとある山奥
の村落であるイニシャナの里に根付く前時代
から歴史を持つ家系である。
だが、しかし。
其の名は決して、表に出る事は無い。
何故なら、ホーリーセンスの一族とは正しく
影、忍の家系なのだ。
政府から見たホーリーセンスの一族とは影の
スパイ、暗殺、密偵等をこなす暗躍者達。
決して、表沙汰には見せないが其の家系の力
をプレジア政府は頼りにして来た。
だが、其のホーリーセンスの一族が政府との
密約を交わし暗躍していた時代にとある事件
が起こっていた事を世間は知らない。
其れは今から十年前の大事件。
敵対するバルモアとの戦争の火種を此の時点
で大きくさせない為にとある場所にシルヴァ
が生まれたホーリーセンスの一族はいた。
此の時、シルヴァの父親達を中心にしていた
ホーリーセンスの雇用部隊はバルモアからの
部隊として送り込まれた筈が戦いの中で逸れ
残留兵となった者が地下に潜伏している情報
を仕入れて来た。
其の情報を政府に売り、情報代を手に入れる
為に動いたホーリーセンスの一族に政府から
追加での任務が言い渡された。
其れは、敵国潜入へのキッカケを作る事。
戦争に勝利する為に必要な物の中には必ずと
言っていい程に“情報”というモノが在る。
此処で政府が手に入れたかったモノとは此の
残留兵達を活用しバルモアの土地に此方側の
情報収集拠点を作る事であった。
今回、ホーリーセンスの一族に当てられた
任務とは、バルモアの残留兵であるという
偽の情報を使い、其の残留兵達と共に敵国に
渡り情報収集拠点となる場所に目星を付けて
戻ってくるという任務であった。
50
お気に入りに追加
25
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。

百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

とあるおっさんのVRMMO活動記
椎名ほわほわ
ファンタジー
VRMMORPGが普及した世界。
念のため申し上げますが戦闘も生産もあります。
戦闘は生々しい表現も含みます。
のんびりする時もあるし、えぐい戦闘もあります。
また一話一話が3000文字ぐらいの日記帳ぐらいの分量であり
一人の冒険者の一日の活動記録を覗く、ぐらいの感覚が
お好みではない場合は読まれないほうがよろしいと思われます。
また、このお話の舞台となっているVRMMOはクリアする事や
無双する事が目的ではなく、冒険し生きていくもう1つの人生が
テーマとなっているVRMMOですので、極端に戦闘続きという
事もございません。
また、転生物やデスゲームなどに変化することもございませんので、そのようなお話がお好みの方は読まれないほうが良いと思われます。

冤罪で追放した男の末路
菜花
ファンタジー
ディアークは参っていた。仲間の一人がディアークを嫌ってるのか、回復魔法を絶対にかけないのだ。命にかかわる嫌がらせをする女はいらんと追放したが、その後冤罪だったと判明し……。カクヨムでも同じ話を投稿しています。

もしかして寝てる間にざまぁしました?
ぴぴみ
ファンタジー
令嬢アリアは気が弱く、何をされても言い返せない。
内気な性格が邪魔をして本来の能力を活かせていなかった。
しかし、ある時から状況は一変する。彼女を馬鹿にし嘲笑っていた人間が怯えたように見てくるのだ。
私、寝てる間に何かしました?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる