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第十三篇第四章 暁光の聖天使
天照の真髄
しおりを挟む雄叫びと共に正面から切り掛かろうとロード
が迫るのを視界に映したグレイは不敵に笑み
を浮かべて燃ゆる紺碧の焔を宿した左の腕を
ロードに向けて伸ばす。
そして振り下ろされたロードの刃を左の指で
挟んで受け止めると其の勢いに負けない様に
手首から紺碧の焔を噴射させた。
「なん…だとッ……!?」
「緩ィ事言ってんな……斬り殺されるか、斬り殺すか……此のギリギリの中にしか味わえねェモノもあんだろって言ってんだッ!!」
空中で動きを止めたロードを確認してグレイ
は腰元から薙刀を逆袈裟掛けに振り上げ眼前
のロードの腰から胸元を斬り裂いて見せる。
舞う鮮血の中でロードの意識がよろめいた事
を察したグレイは刀を掴んでいた左腕を離し
落下し始めたロードの身体に左の掌から紺碧
の火柱を放って見せる。
「グッ………ああああッッ!!」
紺碧の火柱に因って背後へと吹き飛ばされた
ロードは光の草むらの上を転がって行く。
「ロード様ッ!!」
シェリーを中心とした仲間達の声が響く中で
ロードは何とか受け身を取って片膝を着いた
状態でグレイを睨み付ける。
其のロードの身体には紺碧の焔がへばり付く
様に残り、業火のギフトの特性の一つである
“熱傷”のチカラが効力を発揮した。
「ニャロウ……!」
ジワジワとロードの身体を蝕む様に熱を発す
火傷の様なチカラに視界を震わすロード。
そして、胸元の傷が更にズキズキとロードの
身体の中から痛みを発していた。
「良い眼じゃねぇかッ……俺の薙刀もテメェの血が吸えて嬉しいってよッ…!」
グレイの持つ薙刀型の大業物の一振りとして
数えられる“天照迦具土”。
火の神の名を持つ此の薙刀の先端に染み込む
ロードの血を舐めずりながらグレイはロード
を見下ろしながら不敵に笑う。
「あんのイレズミ野郎ッ……どこまで行っても……不気味な野郎だぜッ……」
ロードは足元をふらつかせながら刀を構えて
立ち上がると地面へと鋒を向けた刀の先から
此の戦いで一番の熱量を誇る真紅の業火の炎
を唸りを上げて燃え盛らせる。
「どんどんと……熱量が増してやがるじゃねぇかッ……テメェッ……!」
「ああ、コイツも業火のギフトの特性ってヤツだったよな……」
ロードの持つ業火のギフトの特性の中の一つ
“昇華”は、其のチカラを使えば使う程に其の
攻撃力を増加させる事の出来る攻撃特化特性
の中では最強と言っても過言では無いチカラ
である。
其の特性を用いて此の戦いの中で熱量を加速
させるロードが刀を一気に振り上げる。
「食らいやがれッ!!」
ロードが刀を振り下ろすと其の刃の鋒辺りに
宿された真紅の炎が一点集中の炎衝を起こし
斬撃と成りてグレイへと突き進む。
「ハッ……悪くねェな……!」
迫り来る斬撃に対してグレイもまた薙刀を
強く握り直し振り上げて見せた。
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