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第十三篇第四章 暁光の聖天使
桃色の聖天使
しおりを挟むバルモア王女シェリー・ノスタルジアが遂に
稀有な存在である閃光のギフトの覚醒という
扉を開く事に成功した。
「いやはや……何という輝き……」
「あの姫が……まさか……戦えるという情報は皆無だった筈でありんす……!」
「なんも覚醒は戦うタメだけんチカラやなかっちゅうコトやろうか……」
「ゴチャゴチャ言ってんなッ!!変わんねぇよッ!!ピカピカ眩しいモン、ぶっ壊すだけだろォォ!!」
裏帝軍幹部達は、アノンの掛け声に合わせて
頭上に舞い上がったシェリーへと攻め込む。
だが、しかしー。
其の攻撃はシェリーには届かなかった。
そして、其の事実は裏帝軍幹部達に驚く程の
予想の範囲外の事で防がれていた。
「……テメェ等はァァ……ぶっ倒れてたハズだろうがよォ!!」
アノンの怒りの声を飛ばされた蒼い髪の男は
ヒラリと腕に付いたマント型の盾を翻し息を
小さく吐くと青龍刀でアノンを吹き飛ばす。
「……私達にも…理由は良く解らないんだ。先程迄の痛みも消えたが……何故、今…此れ程迄に身体が軽いのか…」
「そいつァ…ワイも同感や。コレも全部、姫様のチカラっちゅうコトかぁ?」
「ロード殿に…御力を与えた事は知っていましたが…此れ程、同時に等…正しく驚嘆の光景ですね……」
「みんなっ……不思議なコトなんてなにもないよっ……ほらっ…見てッ!!」
妖精の姿をした翠色の髪の女性が突き出した
装備のナックルフィストに違和感を感じた。
其れは、カラーが桃色に変化していた事。
其れを見た他の三人は自分の覚醒体に起きた
変化に其の目を丸くし始めた。
其れは、シグマの首周りのファーと槍の先端
が桃色に、レザノフの左腕に装着された盾と
右腕に持つライフル、更にはシャーレの右側
の腕に付いていた盾型のマントと額に生えた
角の片側もまた桃色に変わっていた事。
そして、四人がシェリーの真下に立ち並ぶ。
其の瞬間、閃光のギフトの付加の特性が四人
にもロードに与えたチカラと同等のチカラを
付与したのだった。
「シェリーちゃんっ……救けてくれてありがとっ……おかげで命拾いしたッ!!」
「……ポアラ様っ……!!」
ポアラが飛ばした其の声がシェリーの胸の内
にじーんと染み込んで行く。
想えば、彼女は自身を責め続けていた。
戦うチカラは無い、しかし自分自身の意志で
訪れたプレジアでは当たり前の様に其の命を
狙われる日々が続いた。
其れでも、傷付くのは自分ではなく仲間。
チカラに成れぬ不甲斐無さと己の無力感に心
を強く苛まれ、仲間達と共に歩んでは行けぬ
とまで悩み疲弊した夜もあった。
だからこそ、ポアラの其の一言に合わせ皆に
向けられた笑顔を振り撒く其の瞳がシェリー
の瞳を潤ませる事に繋がった。
だが、泣いている場合では無い。
涙を拭い、いざ戦いの舞台へ王女が舞うー。
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