RISING 〜夜明けの唄〜

Takaya

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第十三篇第三章 血の氾濫

死と隣り合わせの現実

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静かな風が光の泉に流れた。

そして、其の均衡を一瞬で破裂させるかの様
に裏帝軍軍団長グレイの指示が飛ぶ。



「……始めろ…ッ」



「「はッッ!!」」



裏帝軍幹部達が一斉に声を合わせる。

四人が一気に前へと跳んで眼前に見据えし敵
を其の瞳に映し開戦の幕が斬り落とされる。



「俺等に失敗はもう許されねェ!!敵国の王女と……あの男に加担してるテメェ等も同等の罪人として処理するしてやるよッ!!」


「……私の仲間を…罪人だと?聞き捨てならぬなッ!!」



鰐の覚醒を披露した幹部アノンの振り上げた
鋼の大剣がシャーレへと迫る。

シャーレは其の大剣をワイバーンのマント状
の盾で防ぐも直ぐに左方からアノンの左手と
同化した鰐の口に生え揃う牙が襲う。

其の鰐の口に青龍刀を当てがい何とかアノン
の動きを止めたシャーレ。



「バルモアの英雄だと言えど妾達の国に其の足を簡単に踏み入れるなでありんすッ!!」


「百年続く其の諍いに終止符を打ちに来たのです……簡単に等とは言えぬ…強き覚悟が我々にもありますよ…!」



上空を舞う幹部ライアに向けて地上から鋼の
弾丸をライフルの銃口から連発するレザノフ
の攻撃をひらりひらりと回避するライア。

そして、間隙を縫って鉄扇を振るい梅重色の
烈風を仰ぎ放ちながらレザノフを狙う。



「いやはや……難儀なモノですね。わざわざプレジアへと参らなければ悲惨な人生の終わりなど迎えずに済んだと言うのに…」


「あかん。ワイはそういう自分の言葉に酔っとるようなヤツは好かん…せいぜい、結果で語るコトやなあッ!!」



蛇の覚醒を果たした幹部スネイクが蛇の形状
に変化した鞭を振るい蛇が身体をくねらせて
シグマへと迫る。

シグマは自身の足に暴風を起こして勢い自体
をチャージするかの様な姿勢を見せる。

そして、槍を前方へ突き出し蛇を跳ね返す程
の暴風の一撃を放って見せた。



「うちらん任務ん失敗はそんまま死ば意味するっちゃん。やけん退けんし負けられん……ポアラ…覚悟しんしゃいッッ!!」


「それはなにッ!?アンタたちの上がそういう態度だって言うのッ!?人の命ってそんなに軽いモンじゃないでしょッ!!」



蜂の覚醒を果たしたエマは蜂の針の様に変貌
した腕と槍を上手く動かして肩から生成した
蜂の腕二本と合わせて四本の攻撃がポアラに
向けて連打を始める。

ポアラは一歩ずつ背後へとバックステップを
挟みながらエメラルドの拳で其れを弾きエマ
の攻撃を防いで行った。



「うちらだってそげん軽かなんて思いとうなか。ばってん…現実がそげ言うてくる……ポアラたちには信じられんやろうけどねッ!」



エマの言葉が光の泉に響き渡る。

其の言葉に裏帝軍幹部達は唇を噛みズキズキ
と痛む胸の内を隠して戦いの中へと浸る。

彼等にとって“血の結束”とはどれ程に重たい
モノなのだろうかー。
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