579 / 729
第十三篇第二章 鳳凰殿への来客
龍と成る逸材 “妬心”
しおりを挟む戦鬼と謳われるガルフ・ジャッククォーツの
実子として帝国軍の入隊試験を全ての分野で
トップ通過したアビスは其の才能を遺憾無く
発揮し個人の部隊を持つ将官クラス達の目に
一瞬で止まる事となった。
「ホッホッホ……アビス・ジャッククォーツ……鬼の元に生まれた鬼才其の物じゃのう……ガルフよ。元帥命令じゃ、自分の隊で面倒を見なさい」
其の日の入隊試験の行程を全て終え帝国軍の
本部最上階、元帥執務室にて緩りと椅子に背
をもたれかけさせ座り込んだ七年前当時元帥
を務めていたテイラー・ホプキンスは笑みを
浮かべてそう話した。
「ホプキンスさん、アンタね。元帥命令って言えば何でも通ると思ってんでしょう?しゃらくせぇ御方だよ…全く」
「ホッホッホ……。通るじゃろ?元帥の命令なんじゃから」
帝国軍元帥執務室にてテイラーの座った机の
前に置かれたソファに腰掛けた七年前当時の
帝国軍大将にしてアビスの実父であるガルフ
は頭を悩ませた様に覇気の無い声を溢す。
「(………帝国軍入隊試験から見習い期間を設けずに…尉官待遇での新人抜擢…異例中の異例を、父親の隊でやれってか…アイツへの妬みや嫉妬の声は裏じゃ膨れ上がる…護ってやれって事かよ…ホプキンスさん…しゃらくせぇぜ、ホントによ…)」
ガルフの心の声は実際の所、テイラー自身も
理解している程、安直だが拭い去れない事案
なのだろう、其れ程、世の中には特別待遇等
は簡単には看過されない物だ。
其れが、アビスの実力だったとしても。
世間は裏で、アビスはこう叩くのだろう。
帝国軍大将ガルフの実子は、親の七光りで
入隊、出世、全てが確約されていただけの
出来レースでしか無いと。
だが、ガルフは知っている。
実子アビスにガルフが幼少期から特別な事を
何かして来た訳では無い事を。
強くなりたいと願う実子に基礎となる型を
教えただけに過ぎない父と子の修行。
だが、其れをアビスは父に隠れて直向きに
鍛錬し続け己のチカラを錬磨して来た。
ガルフは思うのだ。
アビスは努力の天才なのだと。
其の成長ぶりには父として驚かされてばかり
だったが、世間には其処は見て貰えない。
ジャッククォーツという名が、此の先、息子
の足枷となる未来を危惧さえしてしまう。
結果を残そうとも、ジャッククォーツの血が
アビスには流れているから。
アビスは上層部から特別待遇を許され一般の
兵とは価値が違うのだから。
世間の裏側はそうやってアビス自身の実力を
簡単には認めてくれないだろう。
テイラーも其処は心配をしていたのだ。
其れだけ、ガルフ・ジャッククォーツという
男の功績が大きい事を意味する。
そして、其の大きさが此の先、二世となった
アビス・ジャッククォーツという若き才能に
のし掛かってしまうのでは無いかと。
40
お気に入りに追加
22
あなたにおすすめの小説
マッサージ師にそれっぽい理由をつけられて、乳首とクリトリスをいっぱい弄られた後、ちゃっかり手マンされていっぱい潮吹きしながらイッちゃう女の子
ちひろ
恋愛
マッサージ師にそれっぽい理由をつけられて、乳首とクリトリスをいっぱい弄られた後、ちゃっかり手マンされていっぱい潮吹きしながらイッちゃう女の子の話。
Fantiaでは他にもえっちなお話を書いてます。よかったら遊びに来てね。
【R-18】クリしつけ
蛙鳴蝉噪
恋愛
男尊女卑な社会で女の子がクリトリスを使って淫らに教育されていく日常の一コマ。クリ責め。クリリード。なんでもありでアブノーマルな内容なので、精神ともに18歳以上でなんでも許せる方のみどうぞ。
隣の席の女の子がエッチだったのでおっぱい揉んでみたら発情されました
ねんごろ
恋愛
隣の女の子がエッチすぎて、思わず授業中に胸を揉んでしまったら……
という、とんでもないお話を書きました。
ぜひ読んでください。
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
お嬢様、お仕置の時間です。
moa
恋愛
私は御門 凛(みかど りん)、御門財閥の長女として産まれた。
両親は跡継ぎの息子が欲しかったようで女として産まれた私のことをよく思っていなかった。
私の世話は執事とメイド達がしてくれていた。
私が2歳になったとき、弟の御門 新(みかど あらた)が産まれた。
両親は念願の息子が産まれたことで私を執事とメイド達に渡し、新を連れて家を出ていってしまった。
新しい屋敷を建ててそこで暮らしているそうだが、必要な費用を送ってくれている以外は何も教えてくれてくれなかった。
私が小さい頃から執事としてずっと一緒にいる氷川 海(ひかわ かい)が身の回りの世話や勉強など色々してくれていた。
海は普段は優しくなんでもこなしてしまう完璧な執事。
しかし厳しいときは厳しくて怒らせるとすごく怖い。
海は執事としてずっと一緒にいると思っていたのにある日、私の中で何か特別な感情がある事に気付く。
しかし、愛を知らずに育ってきた私が愛と知るのは、まだ先の話。
隣の人妻としているいけないこと
ヘロディア
恋愛
主人公は、隣人である人妻と浮気している。単なる隣人に過ぎなかったのが、いつからか惹かれ、見事に関係を築いてしまったのだ。
そして、人妻と付き合うスリル、その妖艶な容姿を自分のものにした優越感を得て、彼が自惚れるには十分だった。
しかし、そんな日々もいつかは終わる。ある日、ホテルで彼女と二人きりで行為を進める中、主人公は彼女の着物にGPSを発見する。
彼女の夫がしかけたものと思われ…
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる