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第十三篇第二章 鳳凰殿への来客
聖火を包む純白の冷気
しおりを挟む「まさか………」
リアは眼前の光景に驚愕の表情を見せる。
多少溶けては凍結を繰り返しリアの攻撃など
アビスに対しては届かないという事を心の底
から理解させられてしまう圧倒的な差。
リアは、脳内で思考を重ねる。
アビスの父であるガルフ・ジャッククォーツ
を破った大将アーク・クオンタム然りアビス
然りだが、あの伝説と謳われた数年前の大将
を冠するガルフと現在は引退をしたカロスと
いう男等の世代を既に超えている。
其れを裏付けたのは此の数日間の出来事と
数年前の帝国軍の人事だった。
戦場の鬼と評されたガルフが敗れた事、更に
現代の大将三人の下に、前時代の無敵と呼称
された三大将が一人、クロスが居る事。
つまり、世間の噂は本当なのかもしれない。
其の噂とは、歴代最強と評された前体勢直後
に更なる無敵の世代が現れたという噂。
此の噂が事実となれば、今や政府は歴代最強
の戦力を誇っている事と同義であった。
リアは勿論、知っている六撰将と国王である
ストラーダ・ケーニッヒが此の先起こそうと
している全国を揺るがせる大きな決断の前に
此の戦力が立ち塞がる事は脅威と呼ぶ他無い
事をリアは冷や汗を垂らしながら知る。
「今、貴様は俺と奴を逢わせない様にと必死で俺を止める為に戦っているのだろうが、錯覚するなよ?貴様と俺では……戦いにすら為らないのだから」
アビスが静かに振り上げた純白の刀の鋒へと
視線を飛ばしたリアは慌てた様に錫杖を天井
へと突き上げて見せた。
そして、高鳴る波動と揺れるギフトを解放し
覚醒を宣言するのだった。
「流水覚醒……“ 識伝舞鶴”ッッ!!」
リアの姿が覚醒に依って変貌を遂げる。
肩が露出された赤と黒のラインが入った流水
の紋様を持つ着物へと服装が変化。
そして、美しき真珠色の翼をはためかせて
眼前のアビスへ錫杖を振るう。
真珠色の翼が水流となって羽根の礫をアビス
の身体を狙って飛ばされる。
しかし、アビスは其の儘、振り上げた刀を
特に力が込もってもいない様な振りでリアに
向けて振り下ろした。
すると、リアにとっても時間的にも其の時間
はほんの一瞬だったが、どうしてか時が停止
したかの様に其の時間が緩りと駆け抜ける。
祈りの祭壇の在った此の広々とした部屋と
覚醒を果たしたリアの翼と足、そして腕が
たった一秒で其の姿と景色を変貌させた。
消えない炎と呼ばれる聖火すら既にアビスの
絶対零度に依って風前の灯火となる。
僅かに揺らめく其の炎が現王家ケーニッヒの
歩む末路を描いているのかもしれない。
身動きすら取れなくなったリアは其の聖火と
純白に凍結された祈りの祭壇、そして冷たく
吹き荒ぶ様な雪、更に眼前に立ち尽くす氷帝
の様な雰囲気を醸し出すアビスから其の未来
を感じ取ってしまっていた。
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