RISING 〜夜明けの唄〜

Takaya

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第十二篇第五章 繋がれて行く絆

奇跡の足音

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此処は大監獄プリズングァザの外庭エリア。

勢いは収まったモノの度々流れ出る大監獄の
看守達を鎮めながらロード達はエルヴィス等
の退路を保っていた。

其の最中で彼等を完全に足止めする出来事が
3rdフェーズでの激闘と時間を共に起こって
いた事を中の彼等は知らない。



「はわわわわわわっ……驚きましたっ……」


「ああ…まさか…あの人まで……アドリーを救けに来るなんてな……」


「此れも全て…ロード殿の思い描いた未来への一歩なのかもしれないですね」


「違うぜ……レザノフさん…。俺も確かにそう望んだけどよ……きっとアイツ等も色んなモンと戦ってんだ…今…」


「フフ…きっと、そうですね」



ロード、シェリー、レザノフの三人は誰かを
見送った様に大監獄の入り口を眺める。



「ロード様っ……レザノフ…っ!必ず皆様はお帰りになりますっ…頑張りましょうっ!!」


「はい、姫様」


「おうッ!!」



外庭エリアで高まった士気が大監獄内部へも
連鎖を始めて行くのだが、其れは其のとある
女性の姿を見る事で始まるモノ。



「(……信じていいんだよねっ……アドアドのコトっ……任せてっ…いいんだよねっ?)」



1stフェーズ内を痛みを堪えながら駆け抜ける
護国師団反乱軍幹部リズ・ミックホームは目
なら溢れ出る涙を腕で拭いながら走る。



『リズさん…アドリーの事は私にお任せ下さい。必ず彼女を救け出しますから……!』



リズの頭に流れたのは其の女性から渡された
言葉であり其の続きに従ってリズは大監獄の
中をひた走り仲間との合流を目指す。



「……リズ」


「ヒュズっちッ!!」



リズは大声で其の名を呼ぶと同じく反乱軍の
幹部ヒューズ・ロギウスの前で立ち止まる。

そして、驚いた表情のヒューズの前で両膝に
手を当てると荒れた息を整え始めた。



「ギルるんどこッ!?リズたちはっ……三人で出口を目指さなきゃッ!!」


「……えっ?ちょっとリズ。落ち着いてっばッ!!」



慌てふためくリズを冷静にさせようと此方も
何やらバタバタと腕を動かすヒューズ。

何とかヒューズは事の経緯を把握する。

そして、一目散に2ndフェーズで中将クロス
と相対しているギルドの元へと駆け出した。



「其の話……本当、なんだよねッ…!?」


「リズは嘘なんかつきませーんっ!!」


「此処で援軍だなんて……流れが変わるのかなッ……でも、ハハハ……疑いたくもなるよリズ……」


「ヒュズっちてば…ひっどーいっ……!」


「ああ、そうじゃなくってさ……」



言葉の途中で黙り込みほんの少しの笑顔を
浮かべたヒューズの横顔をリズが覗き込む。



「だって……そんな嘘みたいな話…本当に現実なんだとしたら……まるで“奇跡”じゃないか……!」



リズも笑顔を浮かべた後で其の女性の事を心
の中で想い浮かべて呟く。



「(任せたよっ……アドアドのコトっ!)」



時代の移り変わりに流れ込む激流が大監獄の
最深部へと勢いを加速させ突き進む。
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