RISING 〜夜明けの唄〜

Takaya

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第十二篇第五章 繋がれて行く絆

届けられた鍵

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薔薇色の荊の園の中を駆け抜ける反乱軍総長
エルヴィスに容赦無く襲い掛かる大将ララの
薔薇の棘を持つ荊の群衆。

アドリー奪還を狙うエルヴィスの前に絶望感
を抱かせる程に立ち塞がる大将ララの圧倒的
な攻撃の波を前にしてエルヴィスはアドリー
の元へ駆け寄る事をあぐねていた。

そんな中で更なら絶望が背後からエルヴィス
へと迫って来ている事を其の事実が彼の視界
に映り込んでから知る事となる。

荊を斬り裂く為に一度身体を出口の方向へと
捻った其の瞬間に背後の扉が柳色のマグマの
流動を受けて完全に開かれた。



「何だ……ッ…!?」



エルヴィスは驚きを浮かべながら地上へと足
を付けて其の柳色のマグマを見遣る。

そして、大将ララもまた薔薇色の荊を下げて
其の動きが起きた方向へ静かに目線をくれて
マグマの奥から緩りと歩み寄る男を視界へと
入れるのだった。



「地獄の大監獄を鎮める煉獄の炎……途轍も無い圧を誇っているな…マッド殿」


「勿体無き言葉。恐悦至極である」



大監獄プリズングァザの監獄署長を務める
マッド・ゲルティーノもまた反乱軍参謀の
アドリーを捕縛する此の場へと参戦に至る。

そして、其の柳色のマグマの中からうつ伏せ
に倒れ込んだ男を見てエルヴィスとアドリー
が慌てた様に反応を見せる。



「ザックさん…ッ…!」


「そんな…ッ……ザックさんまで…どうして…!」



熱傷を受けて倒れ込んだ六撰将ザックの其の
姿を見てエルヴィスとアドリーは表情を強く
引き攣らせて焦りを露わにした。

しかし、ザックは顔を上げれないままに静か
に其れでも力強く片腕を上げて見せる。

其処には握り締められた拳があった。



「エルヴィス……ッ…アドリーを救け出す為の鍵は此処にあります…ッ…!」


「アンタ…やり遂げたのかよ…頭が下がるぜ…ッ…ホントよ……!」



ザックは倒れ込んだまま腕を振るって拳の中
の鍵をエルヴィスへと放り投げた。

エルヴィスは其の鍵を大事そうに受け取ると
一度ザックの元へと跳んで移動する。



「無理させちまった…ありがとな。ザックさん」


「アドリーの為です…未だやるべき事は果たされていませんよ…エルヴィス」


「ああ…だな…ッ!」



アドリー奪還の為の必要不可欠なピースが
遂にエルヴィスの元へと辿り着いた。

しかし、ザックの身体は逃走の為に使用した
覚醒が己の意志とは乖離して消え去った程に
疲弊し限界の時を近く迎えていた。

其れでもエルヴィスの肩を借りた後は何とか
自力で其の地面に自身の足で立つ。

アドリーは二人の姿にまたもや流れ出る涙の
奔流が堰き止め切れずにいた。

そして、薔薇色の荊の園の中に立つ大将ララ
の隣へ歩みを進めた監獄署長マッドが此の場
に於いての最重要人物であるアドリーの牢の
前に立ち塞がってしまった。

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