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第十二篇第四章 烈しさを増す大事件
ザックに課せられた使命
しおりを挟む各フロアで混迷たる激闘が繰り広げられる中
大監獄プリズングァザの最深部で在る反乱軍
参謀のアドリー・エイテッドが囚われている
3rdフェーズへと先頭で辿り着いたのは彼女
やエルヴィスとの関係の深いザックだった。
彼には突入前に此の大監獄の中を良く知って
いるヒューズからとあるお願いがされていた
のだが、其の内容とは。
『いいですか?プリズングァザの牢の鍵は其々のフロアの詰所に保管されています。メインの鍵はもしかしたら護衛の誰かが所持している為、無いかもしれませんが。必ず予備は詰所に保管されていると昔、聞いた事が有るんです。アドリー奪還の為には鍵が必要となります……危険ですが3rdフェーズの詰所で其れを手に入れて下さいッ…!』
大監獄プリズングァザの牢は特殊な石を加工
し作られているのだが、其れはギフトの能力
を封じ込める絶封石である。
余談だが此の石は全世界でプレジアにしか
存在しない貴重な資源で在り海外との戦争の
火種となる事の多い石なのだ。
ギフトの能力者は絶封石に因って加工された
鎖と牢の中に入っている為、鍵を手に入れる
事が出来ない場合、救出は困難である為、彼
が其の鍵を入手する事も救出の絶対条件。
ザックは慌てふためくプリズングァザの看守
達を横目に其の混乱に乗じて詰所を探し監獄
の中を足を早めて駆けて行く。
そんな中で、看守達の詰所を其の視界に捉え
たザックは詰所の入り口に耳を当て中からの
音を探りに掛かる。
中から聞こえて来た声は多くても二つ。
ヒラヒラと揺れるカーディガンに覆われた腰
元からザックはボウガンを手に取った。
「(アドリー…もう直ぐ行きますよ。後少しの辛抱です…!)」
ザックは恐る恐る扉を開けると中でモニター
を眺める二人の看守の背後を取ると焦らずに
ボウガンを構えながら静かに近付いて行く。
そして、普段からは想像も付かない程の速度
で行動を開始し二人の看守の首元を手刀二発
で叩き伏せ意識を奪って見せた。
「(良し、騒ぎにならずに詰所まで来れましたね…後は…鍵を手に入れてエルヴィスとの合流を果たしましょう…)」
巨大なキーケースから予備のマスターキーを
探し出し其の鍵を手に取るとホッと一息を
吐いて詰所を後にしたザック。
しかし、ザックが詰所から出た通路に一人の
男性が後ろ手に手を組みながらザックの存在
を其の瞳に捉えるのだった。
「貴方は…?」
ザックからの問い掛けに答えようと口を開く
金髪オールバックで短髪の長身の目立つ其の
壮年男性は静かに言葉を放つ。
「私の名はマッド・ゲルティーノ。大監獄プリズングァザの監獄署長を務めている者である…」
口周りと揉み上げに繋がった金色の髭と署長
用の赤と黄色のスーツ型の制服に身を包んだ
大監獄プリズングァザ署長マッドがザックの
前に堂々と立ち塞がった。
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