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第十二篇第四章 烈しさを増す大事件
暴刃ギルドvs猛虎クロス
しおりを挟む喪中の虎は、眼前から迫る護国師団反乱軍の
幹部ギルド・ラーケイドの力押しを其の武器
で在る斧一振りで受け流して行く。
ギルドは感じていた。
其の瞳に戦いへの活力は微塵も無くひたすら
に此の時間をいなそうとしているだけ。
だが、其の瞳や言動はギルドを舐めているの
では無く、本当に今の自分の立ち位置や為す
べき事を見定めるかの様な真剣さを兼ね備え
ている事も見極めていた。
甲高い金属音を響いて行く中でギルドは一つ
決意を固めて太刀を構えるのだった。
「喪中と言われりゃ…ワケなんざ訊くホド、バカじゃねぇけどよ…俺等も退いてやる気はねぇんだ…死にたくなかったらァ…テメェの身はテメェで護れよッ!?」
ギルドの身体に紫檀色のオーラと波動が一気
に跳ね上がり渦を巻いて纏われて行く。
そして、嬉々とした表情で叫んだ。
「大地覚醒…“ 暴象刃鎧”ッッ!!!!」
ギルドの身体が覚醒に因って変化して行く。
肩に象の耳、腹部に象の頭を模した鎧を身に
纏い増強された筋肉を覆って行く。
そして、顔から身体へと黒いラインペイント
が施されて行くと太刀を高々と構えた。
次の瞬間、脚部に追加された重厚かつ剛健な
鎧を揺らしながらギルドがクロスを狙う。
彼が一歩を踏み出す度に大監獄の敷地内が
荒々しい揺れを起こし始めた。
「意志を感じる強き姿だな」
「そんな褒め言葉なんざどうだっていい…行くぜッ!?絶技ィ…!!」
ギルドがクロスの頭上へと跳躍すると太刀を
振り構えたギルドの背後にオーラに因って
顕現された巨大な鎧武者が現れた。
そして、ギルドの太刀が振り下ろされると共
に背後の鎧武者もまた紫檀色の巨大な太刀を
力強く連動させ振り下ろす。
「 終段・現人斬ッッッッ!!!!」
ギルドの絶後が迫る中、中将クロスはほんの
一瞬だけ猛虎の様な瞳をギルドへと向ける。
すると全身から紅葉色の大地のギフトの波動
とオーラが急激に溢れ出し其の全てを自身の
手に持つ斧に集約しギルドの放つ絶技という
最終奥義と正面から相対した。
「(……サーガよ。己の正義を見出し其れを最後まで貫いて見せろ…そう教えて来たのはワシだった。お前の死はワシが招いたモンだったんだよな……)」
攻撃を放った直後に流れて来た愛弟子サーガ
の生前の表情や言葉がクロスに迷いを与えて
しまった事で斧に全てが乗り切らなかった。
ギルドの放った絶技を前に押し切られる形と
なったクロスは吹き飛ばされ大監獄の床の上
に大の字で寝転がった儘、動かない。
しかし、痛みや傷を感じている様な表情では
無くギルドと相対する中でクロスは黒い壁面
に覆われた大監獄プリズングァザの天井部分
を静かに、静かに見詰めて居たのだった。
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