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第十二篇第四章 烈しさを増す大事件
喪中の虎
しおりを挟む2ndフェーズに突入した護国師団反乱軍総長
エルヴィスと六撰将ザックが一足先に大監獄
の最深部3rdフェーズへと足を踏み入れる中
反乱軍幹部ギルドだけが2ndフェーズで其の
足を止められていた。
其のギルドの前方に立ち塞がるのは帝国軍の
小紫色の羽織の下に筋肉ではち切れそうな程
になった白いYシャツにスーツのズボンを身
に付けたオールバックの貫禄ある男。
其の男は、白髪混じりの黒髪に鋭く深い瞳で
眼前のギルドを睨み付ける。
其の肩には虎の紋様が入った巨大な斧を担ぎ
圧倒的な威圧感を放っていた。
此の男の名は、クロス・ヴェルタイガー。
現在の国王直下帝国軍中将を務めているが元
は其の座よりも更に上、大将の座に君臨した
政府が誇る伝説の帝国兵であった。
「へへっ…ツイてるぜッ……まさかアンタみたいな男とこんなトコで会えるとはよ…!」
ギルドは此のクロス中将を知っている。
年代的に見ればクロスの全盛期を知っている
事も彼の身体に出た反応を物語っていた。
強者との戦いの愉悦。
武者震いと言えば伝わりやすいだろうか。
目を輝かせるギルドの眼前で何故かクロスは
ふと瞳を閉じると物思いに耽った後で静かに
ドスの効いた低い声で話し始めた。
「期待させちまって悪ィんだが…ワシは今…喪中でな…戦う事ァ…出来ねぇぞ」
瞳を開いて発した言葉にギルドはピクリと
反応すると其の言葉の意味を受け取るのに
数秒の時間を要してしまった。
「……喪中だァ…?オイオイ…俺等は今…仲間奪い返しに攻め込んで来てんだよ…アンタは俺等を見逃すってか…?」
「そうは言っとらんだろ。ワシはテメェ等を止めるだけよ…」
「チカラも何も使わねぇで俺等を止めれるとでも思ってんのか…?あァ…?やれるモンならやって見ろよォ!!」
ギルドは背中に担いだ鞘から自身の太刀を
抜刀すると一気に足元を蹴り上げてクロスの
懐を目指して駆け出して行く。
「為せば成る…其れを身を以て知らせてやろう」
ギルドが振り上げた太刀の刀身が上段の位置
からクロスに向かって振り下ろされる。
クロスは其れを担いだ斧を軽く手首を回す様
にして振り回し防いで見せた。
甲高い金属音が大監獄に響き渡る。
「ハッ…コレが噂の斧型最上大業物…虎鎧瞬かァ……やっぱイイ艶してんぜェ…だがソレと本気で戦り合えねぇってのは流石にツイて無さすぎるからよォ…意地でもチカラ使わせてやんぜェ!!」
ギルドの太刀から紫檀色という紫ベースの
オーラが発現し振り下ろした太刀に大地の
ギフトの特性“振動”が加算され其の揺れが
クロスの身体へと流れ込んで行く。
しかし、クロスは微動だにせずギルドは呆気
に取られた表情を浮かべてしまう。
「似たモン同士で助かったよ」
クロスの表情は眉一つ動かずジッと眼前の
ギルドへと強く向けられていた。
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