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第十二篇第四章 烈しさを増す大事件
焦りが生み出す隙
しおりを挟む中将アルマの放った白炎の咆哮を自身の身体
を捻って避けたエルヴィスは、其の勢いの儘
床を蹴り上げて前へと進む。
「(やはり単調…コイツァ…今…自分の中の葛藤と戦ってるだけだ…俺の事なんざ見てねぇ…!)」
ただ真っ直ぐに振り上げられた双剣がアルマ
の頭上へと迫ると其の攻撃を躱すという選択
をしなかったアルマは片方のトンファーを横
に薙ぎ払い、攻撃を防ぐ。
そして、空中で体勢を崩したエルヴィスの胸
付近にトンファーでの殴打を叩き込むと血を
吐き出したエルヴィスに向かって再び口から
白炎の咆哮を放つ。
「ぐぁ…ッ……!」
背後へと吹き飛んだエルヴィスは背中辺りを
床にぶつけながらゴロゴロと無造作に大監獄
を転がって行くと血反吐を吐くと共に静かに
立ち上がるも荒れた息が其のダメージの量を
物語っていた。
「…退屈だな…。腹が減ってるってのにわざわざ出張ってコレかよ…。愉しみにしてたんだぜ?お前とやるのをよォ……」
「…何、終わったみたいに言ってやがんだ…テメェはよ…ッ……!」
「あの参謀の女を救いたい…だが相対する戦力は強大と来たモンだ…チカラをセーブしながら進みたいんだろ?見え透いてるぜェ…」
「だとしたら…何だってんだよ…」
エルヴィスの言葉に中将アルマは深い溜息を
吐いて血反吐を吐く反乱軍総長を見下ろす。
「帝国軍中将の肩書きをナメるな…小僧。出せよォ…?覚醒……」
アルマの言葉はエルヴィスの心の底の本心を
暴き出す様に真っ直ぐに刺さる。
此の先に未だ体力を温存した政府の戦力達が
手ぐすねを引いて待っていると予想を立てた
エルヴィスからすれば体力消耗のリスクを
孕む覚醒は取っておきたいモノだった。
しかし、仲間を囚われた儘のエルヴィスの心
の状況に因って生まれる焦りと不安。
其れがいつしかエルヴィスという男の本来の
力強さを奪っていたのかもしれない。
エルヴィスはホッと心を落ち着ける様に背筋
を伸ばして息を吐くとアルマを見遣る。
「だったら…しっかり見てけよ?テメェが望んだんだぜ……行くぜ?コイツが俺の覚醒だ…!」
アルマがニヤリと笑みを浮かべる。
其の視線の先で圧倒的な程の波動を流しつつ
エルヴィスの身体が金色の雷霆に包まれる。
「迅雷覚醒…“ 天轟雷獅”ッッ!!!!」
エルヴィスが覚醒を放つ。
其の髪は猛る獅子の様に逆立ち、顔から全身
に黒金の雷のペイントが奔る。
そして、獅子をモチーフとした防具を其の身
に纏い鬣の様なファーを巻く姿にエルヴィス
の身体は変貌を遂げた。
全身に奔る金色の雷が身体をまるで輝かせる
様に纏われる其の姿を見て中将アルマは感嘆
の声を漏らす。
「スゲェじゃねぇかッ……こっからだな。オラァ…騒がせて行こうぜェッ!!」
叫びと共にアルマが大監獄の床を蹴った。
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