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第十二篇第三章 激震の大監獄
求める事無き対面
しおりを挟む大監獄プリズングァザ1stフェーズの東方の
大階段を前にして護国師団反乱軍が擁す事と
なるもう一つの小隊は足止めを食らう。
「ん…?ああ…誰かと思えば…五年振りくらいか…?ヒューズ……其れとも…囚人番号で呼ばれた方が俺の事…思い出しやすいか…?」
護国師団反乱軍幹部ヒューズ・ロギウスは
其の声を掛けて来た相手の表情を見詰めると
眉を顰めて自身の表情を曇らせた。
「何だ…知り合いか?ヒューズ」
「知り合い…なんて関係性では居たく無いですが…見知った顔ですね…」
表情を曇らせたヒューズの変化を機微に感じ
隣に立っていた同じく幹部のギルドが掛けた
言葉に反応して見せるヒューズ。
「冷たいじゃん…あんなに面倒見てやったのにさ……囚人と看守の繋がりって…儚いモンなんだなあ……」
「僕が言うのもなんですが…あんなにやる気の無かった貴方が今や副署長とは…心境の変化でもあったんですかね?」
「いやいや……君が釈放される直前ぐらいから変化はあったさ…俺だけじゃ無く…此の監獄の看守内にはね…」
ヒューズは此の話の流れに溜息を吐く。
そして、隣に立つギルドに声を掛けた。
「ギルドさん…二人してこうしてる場合ではありませんよね…柄じゃありませんが…目の前の彼は…僕が相手します……!」
「はっ…ホントにガラじゃねぇコト言いやがったなあ……イケんのか?」
「僕……レアドキルナの戦い…少し手を抜いちゃったんですよ…戦う意味を見出し切れなくて……だから、今一番元気なのって僕なんですよね……」
ギルドはヒューズの気持ちを慮った。
あの戦いに臨む仲間達の中には其の戦いの中
に落とし込んでいた理由を呑み込み切れずに
心を掻き消していた者も居る。
ヒューズもそうだったのかとギルドは此の話
に文句を付ける気にはなれなかった。
「今回はよ…戦う意味ってのを理解出来たのか…?」
「はい……。アドリーが一人で不安な想いをしてると思えば……戦えますッ…!」
珍しく決意の込もる言葉を聞かされたギルド
は鳥肌が立ったかの様に身体を震わせ笑顔を
浮かべると走り始めた。
「あっ…ギルドさん…降りたら今度は南側の階段ですからね…迷子になんてなってる暇は無いですよッ?」
「俺がいつ迷子になったんだッ!?勝手に迷子キャラにしやがってよ…ッ…!」
盛大に文句を言い放ったギルドの背後で幹部
ヒューズがジャベリン型の槍を手に持ち眼前
の因縁ある看守に向けて投擲の構えを取る。
「へぇ…君が俺の相手をするのか…儚いな…幻想に踊らされたバカが……!」
「副署長ロア・シュタイナー…先ずはギルドさんから通して貰いますよッ!」
松葉色の樹木のギフトのオーラを纏う投擲用
の槍がヒューズの手から放たれロアの足元へ
到達すると先端から多量の蔓が出現しロアの
手足を縛り付けて見せた。
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