RISING 〜夜明けの唄〜

Takaya

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第十二篇第三章 激震の大監獄

大監獄看守長 ルミナ・ステュール

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「……ぶはっ。いやいやマジで地球生まれだしっ…語彙力やばーっ…!」



リズの一言に吹き出したルミナは腹を抱えて
ケタケタと笑い声を上げているとそんな彼女
から視線を外したリズがエルヴィスを見る。

そして、笑顔で言葉を発した。



「よくわかんないんだけどっ…エル様はアドアドのトコに向かっていいよっ?ピョンピョンはリズがやるからっ…!」


「ピョンピョン…?あー…アレ。ウサギの耳なのか?まあ、其れは良いんだが……やれんのか?リズ」


「エル様ってばリズのコト…舐めてるっ?誰がリズを幹部に指名したのかなあ……」


「……ッ!……悪かった、リズ。アドリー連れて帰ったら祝勝会だかんな…元気は残しとけよ?」


「…当然っ!」



リズに笑顔で言葉を発し一瞥したエルヴィス
がルミナの背後にある階段目掛けて走る。

既に其の瞳には立ち塞がる敵戦力等、眼中に
映る事はまるで無かった。



「あり?やばたにえん過ぎるしっ…うちのコト…アウトオブ眼中ですかーっ?金髪のおにーさんっ!!」



ルミナの発した言葉にエルヴィスは反応を
見せる事も無く階段を目指し駆ける。

其の背後から紺青色の水流の渦が巻き起こる
とルミナと共に階段を封鎖していた看守達を
纏めて呑み込んで行った。



「ピョンピョン達は…リズだけ見てればいーのっ…リズはもう…帰ってからのオレンジジュースが楽しみすぎてワクワクしてるんだからさっ!!」



紺青色の水流の渦に呑まれた看守達の上を
華麗に跳んで水流を避けたエルヴィスは地下
二階となる2ndフェーズ目指し階段へ到達。

そして、リズを振り返る事はせずに大監獄の
更に深部へと駆け抜けて行った。

其れと同時にミニスカート姿で片足を高く
天井へと振り上げたルミナの蹴りでリズの
放った水流は掻き消されて行く。



「あー…そーゆうパティーンね。金髪の人行かせるタメに…犠牲払ってく感じ…バイブス高まるねぇマジでさ…っ…!」


「犠牲?ホントさっきから意味わかんないって…リズを待ってるオレンジジュースが可哀想でしょっ?リズが犠牲になったらさ」


「ホント語彙力やばたにえんだし…大監獄看守長…鈴兎りんとのルミナを舐めたら…おこだよっ?」



ルミナが首に付けた鈴付きのチョーカーから
小気味の良い鈴の音がブーツで床を踏む度に
リンリンと奏でられる。

そして、眼前で腕から身体に掛けて紺青色の
流水を纏いながらリズが小太刀を抜く。



「んー…なんか長いから…もうピョンピョンで決定ねぇっ!長いの覚えらんないし…覚えるホド…リズの頭の中スッカスカじゃないからさっ!」


「あー…ピョンピョンってやっぱうちのコトかあ……え?ちょマジで…かわたんなんだけど…お気に入りだし…」



決戦を前に何故かホクホクと笑顔を見せ始め
たルミナを見ながらリズもほんの少しだけの
笑顔を浮かべて見せた。

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