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第十二篇第二章 プリズングァザ救出戦
放つ鋼の轟砲
しおりを挟む「 双撃・鋼弾孔ッッッ!!!!」
レザノフの絶技が繰り出される。
二丁のライフルから放たれた鈍色の弾丸は
鋼の板を弾き飛ばし其の轟音と発射の衝撃で
何とレザノフを襲っていた鮫達すら纏めて
消し飛ばしバレットへお向かって行く。
其の間に二発の弾丸は交わりバレットを前に
して一縷の弾閃を描いた。
「(此れは…あかんやっちゃな…父に立ち塞がった壁っちゅうやつが…此の時代に於いても…ボクの前に立ち塞がるか…英雄やで…やっぱアンタわなあ……!)」
生じた衝撃波と共にバレットはレザノフの
放った絶技を前に吹き飛ばされ背中から背後
の地面へと叩き付けられた。
其の轟音と中将バレットが倒れたという事実
に辺りが言葉を失い静寂の時を迎える。
片方のライフルを地面に落としたレザノフは
古傷の痛む腕を抱えながら静かに立ち上がり
辺り一帯を囲み口を開けたまま固まっている
帝国軍隊士と大監獄の看守達を見遣る。
「……見世物ではありませんよ。貴方達もまた彼等の道を邪魔する事は許しません」
レザノフは表情を変えずにライフルを構えて
身体を旋回させながら辺りへ鈍色の弾丸を
乱射し其の隊士達と看守達を撃ち抜き背後で
シェリーのチカラを纏いながらアレスとの
戦いに浸るロードの事を思う。
「(不思議と出逢った当初から…姫様の隣に立つ君に……大きな可能性を感じていました。其れは…きっと武の強さや型の洗練さでは無かったと思います……)」
声は出さずに辺りの敵を撃ち抜いて外庭へと飛び出して来ていた政府の戦力をほぼ一掃と
した所で静かに覚醒を解くレザノフ。
そして、桃色の光と真紅の業火を纏い誰かの
為に其の身を惜しまず奮うロードの姿に視線
を向けるとレザノフは微笑む。
「(君と姫様の強さとは…想いの強さ。自分では無い誰かの為に其のチカラを纏える貴方達こそ新時代を創り上げる人財として申し分などあるものか…何故なら……損得感情等…貴方達には無いのだから……)」
レザノフは胸を熱くさせる。
バルモアは現状、王家ノスタルジアの宗家と
分家が酷く拗れた状態でありプレジアもまた
王家と政府の対立が見られた。
そんな時代に生まれ落ちたロードとシェリー
此の二人は人を恨み其の力を原動力とする様
な人間には育たなかった。
だからこそ、時代は変わる。
血を血で洗う、此の時代に自身を堕とし辛い
とは言えずに戦い抜いて来たレザノフだから
こそ、そう確信出来たのだろう。
「(さあ、ロード殿、姫様…次は…貴方達の番ですよ…此処を制圧し…貴方達の友が待つ場所へと馳せ参じましょう…!)」
とうに限界を超えている筈のレザノフだった
が今は、自身に鞭を打ち此の場にバルモアの
英雄、此処に有りと示し続ける。
そして、心の中で次代へエールを送った。
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