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第十二篇第二章 プリズングァザ救出戦
血の匂いを追う海王
しおりを挟む五匹の流水の鮫がレザノフに向けて獰猛なる
牙を剥き襲い掛かって来た。
しかし、レザノフは冷静に其の鮫の躱し次の
行動へと移ろうとするが一度は躱した鮫達が
ヒレを振ってまたしても背後からレザノフに
向けて大きく口を開けて迫り来る。
「何処までも追ってくるつもりですかね?此の鮫達は……」
「正解や。鮫の性質は血の匂いに敏感…其の敏感さは常軌を逸してるんや…」
「成る程、小さかろうが血を流させれば良かった訳ですか…だとしたら先程の様な複数射出は最適ですね…」
「何冷静に言うてるんや?鮫は撃ち抜いても無駄やわぁ…幾らだって此方から増やせるんやからな…アンタは今から躱しても躱しても追い続ける獰猛な海のハンターから狙われながら…ボクと戦う必要がある。此の意味は理解出来るやろ?」
バレットの言葉の意味をレザノフは瞬時に
判断し理解する事が出来た。
だが、其の答えとはとても厄介で危機と常に
隣り合わせの戦いとなる事だったのだ。
そう考えながらも迫り来る鮫を躱し続けて
行くレザノフだったが遂に一匹の鮫の攻撃を
避け切れずに腕を噛まれてしまう。
しかし、アルマジロの硬さは鮫の噛み付き
すら寄せ付けぬ程の硬力を持っていたお陰で
鮫の牙の方がイカれてしまった。
「あらら、せやったら攻撃の仕方を変えるだけやわぁ…!」
バレットが七支刀をまるで指揮者のタクトの
様に振るうと鮫達が一斉にレザノフの身体に
目掛けて頭突きを始めた。
アルマジロの硬力を持ったレザノフに頭突き
でのダメージは殆ど入らないのだが一向に彼
は体勢を立て直す暇を得られずにジワジワと
バレットの放った鮫達に追い込まれて行く。
「アンタの強さがほんまもんなんは知ってんで、そやさかいボクはジワジワとアンタを嬲り…疲弊した所を葬る…卑怯でも勝つのんが最優先やで…なあ?レザノフ・スタールマン…!」
レザノフは思案を巡らせて何とか突破口を
探ろうとはするが此の状況はとても不利だ。
何故なら獰猛な鮫達の動きを追うので精一杯
な今の状況に未だに動かないバレット自身が
本格的に攻め込んで来たら打つ手が今よりも
更に無くなってしまうからだ。
だからこそ、バレットが動いても正面から
やり合える状況を作る必要がある。
しかし、獰猛な鮫達の頭突きは止まらずに
レザノフの体勢だけではなく思考力さえも
定まって行かないのだ。
バレットの不敵な笑みは留まらない。
彼は父が怪物と評した敵国バルモアの伝説と
呼ばれる英雄を下す未来を疑わないだろう。
其れだけの余裕が彼にはあった。
しかし、此の逆境を幾多も乗り越えて来た事
こそレザノフを英雄たらしめる。
彼は、遂に思い付いた。
バレットの此の無限ループの様な鮫達の攻撃
を防ぎながら足場を固定しバレットへ弾丸を
撃ち込む方法をー。
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