RISING 〜夜明けの唄〜

Takaya

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第十二篇第二章 プリズングァザ救出戦

鳳凰の持つチカラ

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すうと深く息を吸い込んだアレスはロードと
背後のシェリーを視界に捉え大きく叫ぶ。



「僕は女じゃないッ!!可愛いって言われたって何一つ嬉しくないんだよーーっ!!」



開戦の狼煙が上がりロードを目掛けて攻めに
入って来たアレス隊の面々も監獄の看守達も
突然の其の声にピタリと立ち止まる。



「はわわわわっ…まさか気にされているとは思わず…もうしわけございませんっ!!」



アレスの言葉を真に受けたシェリーだけが
アレスに対してペコペコと頭を下げる。



「あああっ!!いや、そんなに謝られてもっ…そ、そんなつもりじゃなかったんです…僕こそごめんなさいっ、ごめんなさいっ」



何故かシェリーに対してペコペコと頭を下げ
続けるアレスの姿にロードもアレス隊も監獄
の看守達も引いた様な表情を浮かべる。



「「(いや、何コレ……)」」



アレス隊と監獄の看守達の声が不思議と心の
中でシンクロしていたがアレスよりも彼等が
先に今やるべき事を思い出す。

すると百人超の人間が一斉に銃を構えロード
に向かって間髪入れずに射撃を始める。



「って…おわっ。ワケわかんねぇ感情になってる間にそこそこピンチじゃねぇかッ!」



ロードは慌てて翼を大きくはためかせると翼
を起点に風を起こし銃弾を弾いて行く。

しかし、大群の中に居た鉄鏡のギフトを持つ
隊士達の弾丸だけが其の風をも貫きロードの
肩と頬や脇を数発の弾丸が掠めて行った。



「ロード様っ!」



背後から見ていたシェリーは掠めたのでは
無く直撃したと勘違いし慌てふためく。

しかし、其の直後にロードすらも未だに知り
得なかった驚きの光景が映し出される。



「痛みが引いてく…?」



ロードは自身の身体に付いた傷に灯る真紅の
小さな灯火へと目を向けると其の灯火の火が
小さくなって行くにつれてロードの身体の傷
がまるで無かったかの様に消えて行く。



「ちょ、ちょっと待って…何したの…君は」


「いや、わかんねぇ。なあ?シェリー…コレが閃光のギフトの治癒の特性か?」


「はぇ?いや…そんなに早くは治らないと思います…」


「……鳳凰のチカラか…?」



ロードがボソッと呟いた言葉にアレスは慌て
血の気が引いた様な表情で話す。



「ま、まさか…鳳凰って…不死鳥の事?君ってもしかして…不死身なんじゃないの…?」



ロードはアレスの言葉に溢れ出る感情を抑え
られずにゾワッとした何かを感じながら笑み
を浮かべて自身のチカラに気付く。



「この覚醒状態なら…俺は無敵なのか?」



此れには、とある絡繰があった。

ロードの手にした鳳凰の覚醒の性質には確か
に“再生”のチカラが宿っている。

しかし、単体では其処迄の速度で再生する事
は有り得ないのだが此処にシェリーの有する
閃光のギフトのチカラが混ざる事で波動の質
を高まった再生の性質が完成するのだ。

正に、二人なら無敵、なのかもしれない。

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