515 / 729
第十二篇第一章 退路無き救出作戦
見透かされた覚悟
しおりを挟む「へっ…スゲェな。閃光のギフトってヤツはよ…おし、ならレザノフさんとザックさんはそのまま外でロード達の援護を頼むぜ…!」
座り込みながらほんの少しの笑みを浮かべて
話したエルヴィスにザックが口を開く。
「許容しかねます…エルヴィス」
「何だと…?どういう了見だよ、ザックさんよ…!」
エルヴィスの視線がザックへと突き刺さって
其の場に静寂の時間が訪れた。
するとザックが溜息混じりに続ける。
「君は私達を作戦に組み込むと言いましたね」
「ああ…言ったぜ?だからこうして…」
「私達を退路に最も近く配置して置けば…最悪の事態となった場合に逃げ出し易くなると考えたんでしょう…?」
ザックの言葉にエルヴィスが返答に詰まる。
「アドリーを助け出したい…救いたいと考えているのは私も同じ…君達と共に私は監獄内へと向かいますからね…!」
「ザックさん…」
ザックの見せた笑みにエルヴィスの表情にも
変化が見られて行った。
固く研ぎ澄まされていたエルヴィスの表情の
ほんの少しの緩み、感極まったかの様な顔を
見て周りの声が飛び交う。
「私も外が片付きましたら中へと向かいますよ。エルヴィス殿」
「俺もだ…!」
「はわわわわっ…こ、こわいけど私もですっ!」
「……お前等…!」
ロード達の言葉にエルヴィスは少し額に手を
当てながら俯いた後で顔を上げた。
其の表情にはエルヴィスらしい強気な笑みが
戻って来ていたのだった。
「……おし。なら一蓮托生だ…アドリーの為に悪いがみんな…気張ってくれ…!」
エルヴィスの号令に鬨の声が上がる。
「あ、アドリーは仲間だもんっ!」
「アドアドの為なら…リズはなんだって頑張れるよっ!」
「小娘への借りが笑えるほど溜まってんかんなあ…うしっ!一つ返しに行くチャンスだな…ツイてるぜッ!!」
反乱軍とロード達の士気が上がる。
だが、其れでも成功確率はほぼゼロに近い。
此れが現実であり全員が其の事は承知の上だ
と言われればそうなのだろうが士気を下げる
様な発言は誰一人しなかった。
ネガティブさを持つヒューズでさえ、毒舌と
言われるリズでさえだ。
アドリーの存在の大きさが窺える中、政府に
追われる身となったロードもバルモアという
隣国の王族であるシェリーも其のシェリーを
危険な場所へは送る事の出来ない立場を持つ
レザノフもロードを託されたザックでさえ。
此の危険水域へ飛び込む事の恐怖を打ち払う
かの様に其の言葉を発する事は無い。
そして、此の緊急的な共同戦線を敷く彼等は
エルヴィスを先頭に落人群を後にする。
眼前に聳える大監獄プリズングァザを見据え
其の覚悟を胸に作戦決行の瞬間を待った。
大監獄プリズングァザに集った政府の戦力達
は此の状況を見据えてのモノだ。
ロード、エルヴィス達を手ぐすねを引いて
彼等は待っているのだろう。
40
お気に入りに追加
22
あなたにおすすめの小説
マッサージ師にそれっぽい理由をつけられて、乳首とクリトリスをいっぱい弄られた後、ちゃっかり手マンされていっぱい潮吹きしながらイッちゃう女の子
ちひろ
恋愛
マッサージ師にそれっぽい理由をつけられて、乳首とクリトリスをいっぱい弄られた後、ちゃっかり手マンされていっぱい潮吹きしながらイッちゃう女の子の話。
Fantiaでは他にもえっちなお話を書いてます。よかったら遊びに来てね。
【R-18】クリしつけ
蛙鳴蝉噪
恋愛
男尊女卑な社会で女の子がクリトリスを使って淫らに教育されていく日常の一コマ。クリ責め。クリリード。なんでもありでアブノーマルな内容なので、精神ともに18歳以上でなんでも許せる方のみどうぞ。
お嬢様、お仕置の時間です。
moa
恋愛
私は御門 凛(みかど りん)、御門財閥の長女として産まれた。
両親は跡継ぎの息子が欲しかったようで女として産まれた私のことをよく思っていなかった。
私の世話は執事とメイド達がしてくれていた。
私が2歳になったとき、弟の御門 新(みかど あらた)が産まれた。
両親は念願の息子が産まれたことで私を執事とメイド達に渡し、新を連れて家を出ていってしまった。
新しい屋敷を建ててそこで暮らしているそうだが、必要な費用を送ってくれている以外は何も教えてくれてくれなかった。
私が小さい頃から執事としてずっと一緒にいる氷川 海(ひかわ かい)が身の回りの世話や勉強など色々してくれていた。
海は普段は優しくなんでもこなしてしまう完璧な執事。
しかし厳しいときは厳しくて怒らせるとすごく怖い。
海は執事としてずっと一緒にいると思っていたのにある日、私の中で何か特別な感情がある事に気付く。
しかし、愛を知らずに育ってきた私が愛と知るのは、まだ先の話。
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
隣の席の女の子がエッチだったのでおっぱい揉んでみたら発情されました
ねんごろ
恋愛
隣の女の子がエッチすぎて、思わず授業中に胸を揉んでしまったら……
という、とんでもないお話を書きました。
ぜひ読んでください。
隣の人妻としているいけないこと
ヘロディア
恋愛
主人公は、隣人である人妻と浮気している。単なる隣人に過ぎなかったのが、いつからか惹かれ、見事に関係を築いてしまったのだ。
そして、人妻と付き合うスリル、その妖艶な容姿を自分のものにした優越感を得て、彼が自惚れるには十分だった。
しかし、そんな日々もいつかは終わる。ある日、ホテルで彼女と二人きりで行為を進める中、主人公は彼女の着物にGPSを発見する。
彼女の夫がしかけたものと思われ…
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる