RISING 〜夜明けの唄〜

Takaya

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第十二篇第一章 退路無き救出作戦

見透かされた覚悟

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「へっ…スゲェな。閃光のギフトってヤツはよ…おし、ならレザノフさんとザックさんはそのまま外でロード達の援護を頼むぜ…!」



座り込みながらほんの少しの笑みを浮かべて
話したエルヴィスにザックが口を開く。



「許容しかねます…エルヴィス」


「何だと…?どういう了見だよ、ザックさんよ…!」



エルヴィスの視線がザックへと突き刺さって
其の場に静寂の時間が訪れた。

するとザックが溜息混じりに続ける。



「君は私達を作戦に組み込むと言いましたね」


「ああ…言ったぜ?だからこうして…」


「私達を退路に最も近く配置して置けば…最悪の事態となった場合に逃げ出し易くなると考えたんでしょう…?」



ザックの言葉にエルヴィスが返答に詰まる。



「アドリーを助け出したい…救いたいと考えているのは私も同じ…君達と共に私は監獄内へと向かいますからね…!」


「ザックさん…」



ザックの見せた笑みにエルヴィスの表情にも
変化が見られて行った。

固く研ぎ澄まされていたエルヴィスの表情の
ほんの少しの緩み、感極まったかの様な顔を
見て周りの声が飛び交う。



「私も外が片付きましたら中へと向かいますよ。エルヴィス殿」


「俺もだ…!」


「はわわわわっ…こ、こわいけど私もですっ!」


「……お前等…!」



ロード達の言葉にエルヴィスは少し額に手を
当てながら俯いた後で顔を上げた。

其の表情にはエルヴィスらしい強気な笑みが
戻って来ていたのだった。



「……おし。なら一蓮托生だ…アドリーの為に悪いがみんな…気張ってくれ…!」



エルヴィスの号令に鬨の声が上がる。



「あ、アドリーは仲間だもんっ!」


「アドアドの為なら…リズはなんだって頑張れるよっ!」


「小娘への借りが笑えるほど溜まってんかんなあ…うしっ!一つ返しに行くチャンスだな…ツイてるぜッ!!」



反乱軍とロード達の士気が上がる。

だが、其れでも成功確率はほぼゼロに近い。

此れが現実であり全員が其の事は承知の上だ
と言われればそうなのだろうが士気を下げる
様な発言は誰一人しなかった。

ネガティブさを持つヒューズでさえ、毒舌と
言われるリズでさえだ。

アドリーの存在の大きさが窺える中、政府に
追われる身となったロードもバルモアという
隣国の王族であるシェリーも其のシェリーを
危険な場所へは送る事の出来ない立場を持つ
レザノフもロードを託されたザックでさえ。

此の危険水域へ飛び込む事の恐怖を打ち払う
かの様に其の言葉を発する事は無い。

そして、此の緊急的な共同戦線を敷く彼等は
エルヴィスを先頭に落人群を後にする。

眼前に聳える大監獄プリズングァザを見据え
其の覚悟を胸に作戦決行の瞬間を待った。

大監獄プリズングァザに集った政府の戦力達
は此の状況を見据えてのモノだ。

ロード、エルヴィス達を手ぐすねを引いて
彼等は待っているのだろう。

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