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第十二篇第一章 退路無き救出作戦
敷かれる厳戒態勢
しおりを挟む護国師団反乱軍参謀アドリー・エイテッドを
投獄し其の身柄の移送を企てている闇の街の
大監獄プリズングァザに続々と小紫色の羽織
を纏う勢力が来訪していた。
「大変な事態が訪れたなあ…警戒は怠るべきとちがうやろう…必ず奴等は来んで…」
「だろうな。ここは悪を閉じ込める大監獄…崩される訳にゃァ…行かんよ。ねぇ、クロス中将…!」
「……………解り切った事を言うな」
「おお…こわ…。流石は歴戦の猛者やなあ」
クロスと呼ばれたガタイの良いオールバック
の中将を先頭に二人の将兵が続く。
京都弁を話す眼鏡の男がバレット・ワグナー
という同じく中将であり水の街アリアアクア
でのジェノスハーバー攻防戦に於いて革命軍
デュークやノアと交戦している。
続いてクロスに話を振ったもう一人のガタイ
の良い男は上裸に羽織を纏った気概の目立つ
アルマ・エルクラウド中将でロードの実家が
在った火の街メルフレアでガルフと衝突した
大男で在る。
そして、そんな三人の背後を恐る恐る着いて
行く事に精一杯となった緑色の髪の青年は
青ざめた表情を浮かべている。
「(さ、さすがに僕…場違いだよ…中将達が三人も揃ってその上に…大将のララさんまで控えてるなんて…ああ…冗談じゃなく…吐きそう…)」
唯一、今回の大監獄プリズングァザの警護の
任を受けた少将アレス・ニールズは此の状況
に吐き気を催す程の緊張を覚えていた。
そんな四人が大監獄プリズングァザの入り口
に達すると其の大きな鋼の扉の前に背を当て
待っていた黒髪の男が気怠そうに口を開く。
「……待ってましたよ。一応…名乗りますね…大監獄プリズングァザ副署長の…ロア・シュタイナーです…皆さんの事は把握してるんで名乗らなくて結構…さあ…行きましょうか」
大監獄プリズングァザの副署長を務めている
ロア・シュタイナーというツンツン頭の男は
そばかすのある白い肌に目のクマが特徴的。
其の男の先導で四人の帝国兵達は緩りと開き
行く大監獄の鋼の扉の中へと入って行く。
「此処は…地上層エンターフェーズ。今から奥の看守用リフトで一気に地下三階へと降ります…俺等は…其処を3rdフェーズと呼んでますがね」
此の大監獄プリズングァザは地上層を含めて
地下三階迄の四層に別れている。
地上層がエンターフェーズ、地下一階の層が
1stフェーズ、地下二階が2ndフェーズ。
そして、最も凶悪な犯罪者達が投獄されて
いるのが最下層3rdフェーズであり其処に
アドリーの身柄は拘束されている。
「(同じ造りと聞いていたけれど…このエンターフェーズは四方を壁に覆われた平面層…死角がほぼ無いんだ…しかも出口となるのは今の入り口だけ……どおりで脱獄者が皆無な訳だね…)」
副署長ロアの先導を受けながら周りを見渡し
アレスは思いを巡らせていた。
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