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第十一篇第四章 未来へ灯す希望の光
治癒の特性
しおりを挟む此処は、雷の街ヴォルテークの北方に在る
ルタイ山を抜け、祈りの街メイデンセイス
へとの境を示すイヴァンリスの長城。
遂に帝国軍からの包囲戦を切り抜け六撰将と
ロード達の一行は完全に合流を果たした。
「みんな…ボロボロじゃねぇか…」
全員の姿を確認したロードとシェリーは胸を
痛めながらも全員が生きて集まれた事に対し
安堵の感情も包含し持っていた。
「ボロボロでもええやんけ…必ず合流するっつう約束は果たしたんやからな」
ロードの目の前でレザノフに肩を持たれた姿
で浮かぶ汗を流しながらシグマは笑う。
「ガルフさん…貴方迄…深手を負うとは…余り予想していませんでしたわ…」
「しゃらくせぇ…少し休ませろ……」
リアに肩を支えられながら今にも倒れ込む
寸前で辿り着いたガルフもまた大きな傷を
負っており其の姿にロードは唖然とする。
「ガルフさんよ…アンタ…此処迄、良く辿り着けたモンだのう…儂はガスタと合流出来たから良かったが……」
一足早くにイヴァンリスの長城へと到着した
ランスはガスタから手当てを受けつつガルフ
へと疑問の声を上げた。
「旧友に助けられた…取り敢えず儂は休むぞ……」
「そうだね。何があったか…帝国軍は部隊を下げて混乱していたよ。ほんの少しだけど僕等も休んで次へ向かおう」
まだ事の次第は知り得ぬ中でマルクの一声を
受けてガルフとランスはイヴァンリスの長城
内部の部屋で横になり休息を始める。
「ポアラ様…シャーレ様…良くご無事で…私…本当に心配しました…」
「うんっ…ごめんねっ…シェリーちゃん。心配かけて…少し休めば大丈夫だから…」
「ああ。直ぐに動けるさ」
「横になり目を閉じてください…回復させます…!」
シェリーの言葉にポアラとシャーレは安心
した表情で瞳を閉じ仰向けで横になる。
すると、シェリーもまた瞳を閉じ二人の額の
上に手のひらを翳すと桃色の光を其の手から
ふわりと放ち行動を始めた。
「成る程…此れが閃光のギフト。唯一無二の波動の流れを回復させる治癒の特性ですか」
「ええ。此処数日…姫様は此のチカラの鍛錬に勤しんでおられましたから…ポアラ殿とシャーレ殿の回復も早いと思われますよ」
シグマは座らせると自身も隣に座り込んだ
レザノフがガスタの唖然とした表情に浮かぶ
疑問に笑みを浮かべて答えた。
「まだ…完全回復とは行きませんが…皆様…順番に手当ていたしますっ!」
腕をぶす様に自身の仕事場を見定めた桃色の
光を手のひらから放つシェリーの姿に全員が
頼もしさを感じていた。
そんな中で、一人の無線機が鳴り響く。
其の持ち主はザックであったが其の相手とは
同じくピースハウスで働く一人の女性の職員
からの通信であった。
そして、其の報告を受けたザックは愕然と
した表情を浮かべながら無線機を落とした。
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