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第十一篇第四章 未来へ灯す希望の光
見せ付ける覚悟
しおりを挟む全ての言葉にブレない返答を続けていた事で
ヨハネはサーガの心持ちが本物でありサーガ
も進退を掛けて此処に来た事を知る。
だからこそ、攻勢は止まなくなった。
力で叩き伏せ此れ以上の反発をさせない為に
此れはヨハネが出来る最後の配慮だった。
荒れ狂う黄金の旋風が美しくサーガの周囲を
吹き上がって行く中でサーガも檸檬色の雷を
奔らせて何とかヨハネの先を行こうと考える
が其の隙はヨハネからは見えて来ない。
「(今は此の人を止める事だけを考えるッス…時間さえ稼げば撤退は可能…其の後の事は…もう知らないッス…!)」
サーガはガスタから六撰将を含めた国王達が
為すべき事として定めたとある計画の内容を
耳にした事から此の行動を起こした。
彼は元々、今の政府や帝国軍の在り方に疑問
を抱いていた一人ではあったが其の疑問符を
払拭出来る様な内容だったのだろうか。
サーガの追い求める正義の形とは。
と、不明な点は多いものの目の前で戦闘を
繰り広げるヨハネはサーガの表情にとある
変化が起こっている気がしていた。
「……まるで憑き物が落ちたかの様だな」
「ええ…まあ。やっと俺が此の時代を前に貫ける正義が見つかって気がしたッスから…」
「クロス殿は悲しむぞ…」
「クロスさんは…自分の身の保証の為に正義を貫けない俺なんか評価しないッス…今の此の姿の方が喜んでくれるんじゃねぇかって思ってたトコなんスよ!!」
話の途中ではあったが遂にサーガが対面する
ヨハネのほんの少しの隙を見つけた。
其れは単なる癖である。
ヨハネは返り血を浴びない事でも有名で相手
に斬り掛かった後は殆どの確率で一歩背後へ
足を戻して距離を取る。
サーガは其処に狙いを定めた。
だからこそ先ずはヨハネを自分に向かって
来させる工夫が必要だったのだ。
其の工夫はサーガとしては危ない橋であって
本来なら其の選択はしない筈だった。
しかし、意を決して自身の正義を貫こうと
決めたサーガは此のタイミングで悩むという
事をしなかったのだ。
「(痛いだろうけど…やるしかないッスよね…!)」
ヨハネの刀から黄金の風の斬撃が鎌鼬の様に
サーガへと吹き流れて来た瞬間にサーガは
避け切れなかったフリをしながら其の風の
斬撃を諸に食らって見せた。
そして、ヨハネから視線を外した。
其れを見たヨハネはサーガに向かって距離を
一気に詰めて脇に仕舞い込んだ刀を斜め上の
向きでサーガに斬り掛かる。
其の一撃を双刃刀を横に薙ぎ払い滑らせる様
に何とか防いで見せると案の定ヨハネが背後
へと一歩戻るのを確認した。
「其処ッス…!」
待っていたのは此のタイミング。
重心が後ろへと流れている今だからこそ背後
からの攻撃には対応は難しい。
伸びる九つの尾の出番だった。
雷を纏ったサーガの決死の一撃がヨハネの
背後へと回り一瞬の隙をついた。
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