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第十一篇第三章 鬩ぎ合う苦悩
六撰将を冠されて
しおりを挟む六撰将が一人ランス・テラモーノと帝国軍の
中将ヨハネ・ヒューストンとの戦いが白熱を
極める中でもう一つの激突が幕を開ける。
「やはり、追わせては貰えないのね」
「ええ。当然です、私達は彼等を此の国の未来の為に先へと向かわせねばなりません」
マリアの言葉に反応したリアは両手を下腹部
の辺りで組んで清楚感溢れる姿で返答する。
「其れは其れとして…まさか私の方に二人も差し向けるとは思わなかったわね…」
「其れも当然さ。ランスさんはバリバリの武闘派だけど僕達はどちらかと言うと非戦闘員側だからね」
六撰将マルクはシルクハットの鍔に触れた儘
ニヤリと笑みを浮かべて言い放つ。
「………私の方は非戦闘員で大丈夫という事かしら?」
「まあまあ…そんな事は申しておりませんよ。お気を悪くせずに」
「私も女だてらに中将やってんじゃないのよ…舐めてるなら其の気持ち捨てて置いて頂戴…!」
マリアにとってはマルクとリアの行為自体が
癇に障ったのか目付きが変わると鋭さを持つ
表情へと変わり二人を睨み付ける。
「あらら…。リアさん…怒らせちゃったみたいだよ?」
「女性だからと思われていると感じたのでしょう。女性にとっては侮辱以外の何物でもありませんし…心中お察し致します」
「察してあげたって…結局其の行為って僕達がしちゃってる事なんだよなあ…火に油注いでるだけなんじゃ…」
ボソッと小声で呟いたマルクに向けて笑顔の
まま首を向けてリアが言葉を発する。
「何か仰られましたか?マルクさん」
「いえーっ…何もおっしゃ…言ってなんかないよ?ホントになーんにもっ…」
「ウフフ…でしたら構いませんわ」
「(怒ったトコ見た事すらないもんなあ…其のタイプが実は一番…怖かったりして…)」
リアに掛けられた言葉に反応して背筋をピン
と伸ばして答えたマルクは最後に微妙な汗を
掻きながら心の中で呟く。
「遊びに来たんじゃ無いのよ?私は…!」
間も無く痺れを切らしそうな程にイライラを
募らせたマリアが前のめりに口を開く。
「申し訳ない、中将殿。そうしたら…本日のアジェンダから説明しましょうか?」
「ふざけないでッッ!!」
ニヤリと笑みを浮かべて発したマルクの言葉
に限界を迎えたマリアが地面を蹴りながら腰
に差した鞘から刀を抜刀すると叫ぶ。
「今のはマルクさんが悪いですよ」
「僕のせいでイニシアチブを取られてしまった訳か…ならアサップで取り返して置かなきゃね…」
迫り来るマリアを前にしてリアとマルクの
二人は互いに構えを取って見せる。
リアは錫杖をマルクは槍型の業物を手にして
戦闘体制へと入るがマリアは一足先に身体に
蒼き迅雷のギフトを纏って自身の足を奔らせ
二人へと迫って行く。
「さあ、リアさん。僕がアテンドしますから気楽に行きましょう」
「ウフフ…私、ビジネス用語は殆ど解りませんの…ごめんあそばせ」
マリアvsリア&マルクの戦闘が始まる。
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