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第十一篇第三章 鬩ぎ合う苦悩
命を捨てた使命
しおりを挟む「ヨハネ中将…私は邪魔にならない様に少し離れます…」
「我が纏めて相手しても構わないのだがな」
「私にも私なりの正義がありますから…。さあ…何人来ても構いませんよ?誰も来ないなら彼等を追うまでですから…!」
動いたのは帝国軍中将マリア・シリウス。
其の姿を目だけで追いながらランスが静かに
口を開いてリアとマルクに告げる。
「俺があの男の相手をしたる。お前等はあの女を追え……任せたってーの…そっちはよォ」
「承知致しました」
「オッケー…彼等の事は僕達が責任を持って追わせないよ」
マリアを追って動き出すリアとマルクの姿を
背中で送り出しランスは槍を構えてヨハネの
視線を一身に浴びる。
「我を相手にたった一人…随分と美しくない采配を振るうのだな…ランス・テラモーノよ」
「なーに言ってんだってぇのう。俺等が守り通すんは俺等の命じゃねぇ…譲れねぇモンがあんのに死なねぇ様な采配だけ振るってるてぇのはズレてんだろうよォ!!」
一つ声を上げたランスは下駄の音を鳴らして
ランスとの間合いを詰めて行く。
ヨハネは緩りと冷たい目を浮かべながら腰元
に差していたレイピア型の業物を引き抜いて
ランスに向けて先端を突き立てる。
「自身の命すら投げ捨てる…其の姿勢こそが美しく無いのだと言っている…」
「抜かせってぇのう!!若造がァァ!!」
「命を捨てて振り翳す覚悟に等…貫くべき正義は…無いのだ…!」
向かって来るランスに向けて黄金の風を纏う
レイピアを突き立てつつ、前へと片足を踏み
出すと鋭利な風の斬撃がランスを襲う。
何とかランスはヨハネの攻撃を遮り槍の一撃
で弾き飛ばすがヨハネの動きはランスの其の
動きの先を一歩も二歩も行っていた。
ランスが何とかヨハネの姿を確認出来たのは
其のヨハネの身体が自身の懐の中へ既に潜り
込んでいた後だった。
「我は何者をも寄せ付けぬ美しき速度を持つ。此れが帝国軍中将を任される者の実力だ…ランス・テラモーノ…!」
ランスは懐の真下から振り上げられたヨハネ
のレイピアでの攻撃を受けて脇から腹部への
辺りを斬り裂かれてしまう。
月夜のルタイ山に降り注ぐ月光に照らされて
ランスの身体から痛々しい程の鮮血が激しく
辺りへと飛び散った。
そして、ヨハネはよろめいたランスの首元を
自身の手のひらで掴むと冷たい瞳でランスの
瞳の奥を覗き込む様に顔を近付ける。
「諦めろ…帝国プレジアは不滅…ケーニッヒが堕ちようとも次なる帝が祭り上げられ此の国のモニュメントとされて行くのだ」
「オメェも…ヒューストンっていう上流貴族の当主なら…国王の苦しみもわかんだろうがよォ…勝手に上に立つモンをモニュメント呼ばわりしてんじゃねぇってぇのう!!」
ランスの叫びに呆れた様な表情を浮かべた
ヨハネがレイピアをランスに突き立てる。
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