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第十一篇第三章 鬩ぎ合う苦悩
実力登用主義の闇
しおりを挟むU・Jとサーガの話は続いて行く。
「其れでもよ…クロスの旦那は…中将として位下げを食らっても…帝国軍の兵士として己の正義を貫くと覚悟を見せた…そん時はまだ…単純にカッケェなって…俺等も考えてたんだ…」
「なら…何故…政府への不信感は強まったのですか?」
「クロスさんは…俺達を昇格させる為に…他隊への移籍まで…面倒見てくれたンス…其れも…クロスさんの所から出世してった俺達の兄弟子の所へ……!そして…時間が少し経過した頃…上から辞令が出たンス…俺の少将昇進の辞令が…!」
そして、U・Jとサーガが頭を抱える。
「待ってください…其処迄は素晴らしい事なのでは…?」
ザックの問い掛けに肩を震わせながらサーガ
が拳を握り締めて泣き出しそうな表情で次の
話をし始めると其の場が凍り付く。
「宰相ガズナは自分の秘蔵っ子を此の時の為に…準備していた…其れが…現在の元帥ロスト…。其のガズナとロストは…軍の中でも…影響力のあった…当時の三大将派閥を消しに掛かったンス…!」
「恐らく其の頃だろ?国王の実権とやらが弱まって来たのは……奴等は此の国を自分達の手中に収める為に…派手に功労者達を斬り捨てやがった……!後々…反発を食らわねぇ様に…実力登用主義とか言う…お題目を掲げてなァ…!」
U・Jとサーガが未だに其の政府に属す理由
として彼等の大恩人である現在の中将クロス
が帝国軍に在籍している事が大きい。
しかし、U・Jとサーガ。
此の二人の成長株を押し上げる為に難癖を
付けて帝国軍から排除された彼等の兄貴分達
の事が心にどんよりとした闇を堕とす。
「宰相から聞いたッス…国王の事…ロードの事…確かに自分達が敷いて来た政策と矛盾してる点は否めないッス……けど…其の人間達の人柄を知ってるのと…政府の汚いやり口を考えたら…簡単に首は縦には振れない…だから迷いの中に居るンスよ…俺達は…!」
ガスタは其の宰相ガズナのやり方に正面から
反発を見せたガルフを誘い込んだ時点で此の
二人の様な人間が未だ軍の中に居る事は予想
を付けていた。
しかし、其の軍の中にあって今果たすべき
彼等二人の正義が何処にあるのか、其の答え
が言葉に上手く出来ずに口籠もる。
「………やっぱ…戦うのは勘弁してもらいてぇ…後でどんな罰を受けようとな…」
「U・J……」
そんな中、U・Jとサーガの無線に地鳴りの
様に慌ただしい通信が入った。
其の内容とは後方から攻めて行った少将達が
ほぼ手負いの状態となった事。
敵側、此処ではロード達の事だが其の殿を
務めた人間達も重傷を負っている事を知る。
「ザックさんよ…悪いが…俺は…同僚のみんなを救援に行かせて貰う……」
「其れなら…私もあの子達を助けに行かなくては…」
ザックの言葉にガスタが静かに頷く。
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