RISING 〜夜明けの唄〜

Takaya

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第十一篇第二章 標的包囲戦

飛竜シャーレvs義剣ドーマン

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シャーレは青龍刀をくるりと旋回させると
自身の真隣に水の分身を作り上げる。

すると其の本体と分身のシャーレは左右へと
散開し距離を空けてから挟み込む様に視界に
ドーマンの姿を捉える。



「何方が本物か思考せよ…と来たか。しかし残念…拙者のチカラを持ってさえすれば其の思考は無意味と取れる…!」



左右から青龍刀を突き刺す様に前方へと向け
押し出したシャーレの本体と分身を嘲けって
見せるかの様にドーマンは自身の身体を反射
させ鏡像と場所を入れ替わる。

すると、ターゲットを失ったシャーレの分身
と本体は互いの胸に青龍刀を勢い余って突き
刺す形となりドーマンは勝ちを確信する。

しかし、思わぬ事態が起こる。

青龍刀を互いに突き刺した何方かが本物だと
考えていたドーマンの視界の中で双方ともの
シャーレの姿が水となって弾けた。



「まさか…両者共分身か…?」


「流水覚醒…“雅清飛竜グレースワイバーン”ッッ!!」



ドーマンの頭上を取ったシャーレは覚醒へと
至り青龍刀を真上から振り下ろす。

ワイバーンの角とまるでマントかの様に振り
広げられたワイバーンの羽を模す盾。

其の盾の翼をふわりと広げて滑空しながらの
青龍刀の振り下ろしにドーマンは何とか反応
を見せ長刀で防ごうとするも間に合わず自身
の肩口から腹部を縦に斬り裂かれてしまう。



「ぐあッ……あの傷を受けながらも…覚醒で攻め込んで来るとは…恐れ入ったぞ…シャーレ・スティーバ…!」


「其れはどうも。しかし…私は強運なだけなのだ…私自身は未だ弱きままだからな…」



シャーレの言葉にドーマンは不思議そうに首
を傾げたが其の真意を辿るよりも前に今彼に
とってはしなければならない事があった。



「鉄鏡覚醒…“ 仁貫剣聖ジャスティスフェンサー”…!」



ドーマンのやるべき事、シャーレの覚悟の質
を知り得た時点で自身も覚醒へと至り相手へ
アドバンテージを渡さない事だった。

身体全体に梟の羽根があしらわれた剣道の
道着の様な鎧を纏い肘や肩、膝等には更なる
防御力を誇る金糸雀色の鉄の防具を付ける。

互いに深い傷を負いながらも先には倒れまい
と意地を見せ付けるシャーレとドーマン。

そして、ドーマンは長刀の鋒をシャーレの喉
辺りに突き付けると身体から幾つもの梟の羽
が身体の周りに舞う。

一切の隙を見せないかの様に動きを止めた
ドーマンの位置から間合いは空いている物の
其の鋒が喉元に本当に突き付けられているの
では無いかと錯覚するぐらいだった。



「左斜め後ろ…」



ドーマンが囁いた其の言葉にシャーレは焦り
を浮かべて足を硬直させる。

しかし、其のシャーレは眼前にいるシャーレ
では無くドーマンから見て左斜め後ろの位置
から迫り来る本体のシャーレであった。



「眼前の貴公からは音は聞こえぬが左斜め後ろからは聞こえておるぞ…」



ドーマンの覚醒した姿のモデルは梟。

梟の聴覚は圧倒的に優れておりシャーレは
分身を使った攻撃を封じられてしまう。
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