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第十一篇第二章 標的包囲戦
山中で交わされる約束
しおりを挟む「ロード…一つ約束出来るか?いや…すると言わせるんじゃがな…」
イヴァンリスの長城を一つの終着点として
ルタイ山の山中を駆ける一同。
其の道中でランスが真後ろを走るロードに
向けて声を飛ばし始めた。
「俺等に対してかなり大規模な戦力をぶつけて来た上に今の此の状況は…まるでお前が到着するのを待ってたかの様なモンだってーの…」
「それで…なんだよ…?」
「奴等は既にお前の存在の重要性にも気付いてるんだろうのう…だからお前は此の脱出戦…戦わずに真っ直ぐ此処を抜けろ…!」
「はあ…ッ!?みんなが戦うかもしんねぇってのに俺だけ逃げろってのかッ!?」
「そう言ってんだろうのう…!」
「ふざけんなッ!!そんな真似出来るワケァねぇだろッ!?」
「相変わらずの解らずやじゃの…お前は…」
交渉が決裂した様に見えた其の会話の途中に
潜り込むかの様に声を発した男が居た。
「なーに言ってんねん。ガキかっちゅうねん…お前は…」
「シグマ…?」
「家族の事もふくめての判断やろ?それともアレか?ワイらのコト…信用できへん言うとるワケやないやろな…!?」
走りながらロードの真横に追い付いたシグマ
は真面目な顔で言い終えた後で笑顔を見せて
ロードの肩を強く叩いた。
「人には出番っちゅうモンが必ずあるハズや…お前は今がそん時やないっちゅうだけでそん時は絶対に来る…チカラ溜め込んどきゃええねん」
「シグマ…お前…」
「それとな…ワイにもそろそろちゃんと戦わせろっちゅうねん…身体がサビついて動かんなってしまうやろッ!!」
最後にロードと目を合わせたシグマは其の場
で急ブレーキを掛けると背後に踵を返す。
「おい、ナニやってんだッ!?」
「ナニって…敵さんの到着やから出迎えたるだけやんか…!」
シグマの視線の先に迫り来る小紫色の羽織を
纏った人間達の影が薄らと見えて来た。
シグマは槍を構えて其の到着を待つ。
すると、ロードとシェリーの二人はシグマの
横に既に動きを止めた三人の姿を確認した。
「レザノフ…シャーレ様ッ…ポアラ様ッ…!」
「みんなして…クソッ…!」
「ロード殿…姫様を頼みます…!」
「心配は要らないさ。必ず追い付くのだから」
「うんっ!さっさと決めてアタシ達も追っかけるよッ!!」
シグマの横でシャーレが青龍刀をレザノフが
二丁拳銃をポアラがナックルダスターを構え
身体と武器に其々のギフトと波動のオーラを
流して臨戦体制を取る。
「此の場は任せよう」と止まりたいロードと
シェリーの声を押し殺させるかの様に六撰将
の人間達は彼等の視線を前に向かせる。
唇を噛みながらロードは此の戦いの中を駆け
抜け約束を果たしつつ無事に切り抜けられる
のか、運命の歯車が廻り出した標的包囲戦が
遂に火蓋を切り落とし開幕する。
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