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第十一篇第一章 月明かりに照らされる真実
母親の正体
しおりを挟む「ここまではわかった…ランス…アンタ等が元々何モンだったのか…だから国王である親父と繋がってた…後は…俺の母さんが何モンだったのか…って事だよな…」
ロードが静かに口を開いた事で其の場が更に
静けさを増して行く中、ランスは一度閉じた
瞳を見開き緩りと口を開く。
「本来なら…もっと良い形で伝えてやりたかったんだがのう…焦らすのは無しじゃな…ロード…お前の母親の名は……」
ロード達側の六人が息を呑む。
探し求めていた其の答えが今現実に目の前で
迫って来ているのだから。
期待と不安を胸にランスの声を待つ。
そして、ランスの口から其の答えが溢れる。
すると、ロード側の中でたった一人だけ其の
名に過敏に反応する者が居た。
其れはバルモア王女シェリーだった。
「サーラ・ヘヴンリー…」
「……えっ!?」
ランスの口から発せられた其の名を訊いて
シェリーは自身の口に手を当てて身体を硬直
させると皆がシェリーに目を向ける。
「どうしたのっ?シェリーちゃん…」
「あかん…ワイには知らん名前や…でも姫様が知っとるっちゅう事は…」
ポアラとシグマが順番に声を発すると身体を
硬直させたままのシェリーの隣でレザノフが
何かを思い出した様に口を開く。
「サーラ殿…思い出した。バルモア王妃ローラ様と仲の良かった侍女の一人…まさかあの方の名が…ヘヴンリー…だったとは…存じ上げませんでした…」
「待ってくれ…ロードの母親がバルモア王妃に仕えた侍女…?」
レザノフとシャーレが言葉を発し終えると
此の事実を把握したかの様にロードに向けて
他の五人が驚いた様な表情で視線を飛ばす。
そして、普段は鈍感な筈のロードですら此の
事実を段々と脳内で把握して行く。
そして、驚愕の事実を言葉でなぞる。
「まさか…俺の…母さんって…バルモアの生まれなのか…?」
「ああ。お前の父…国王ストラーダは一時期王家から離れていた期間がある…其処で出逢い結ばれる事となったのが…お前の母…サーラ・ヘヴンリーなんじゃ…!」
「つまり…ロードって…プレジアとバルモアの混血ってコトっ…?」
ポアラの問い掛けにランスは頷いて見せる。
ロードの父である国王ストラーダとバルモア
の生まれである母、サーラがどの様に繋がり
知り合ったかは不明なまま。
しかし、政府がとある仮説を立ててロードを
重要人物だと呼んだ背景が見えて来る。
「此処からは…今の話をする…。政府が血眼になって俺等を探しとるのは…此の国王の秘密を嗅ぎ付けて来たからじゃ…」
ランスは言葉にして説明し始める。
其れはロード達も裏帝軍のエマから聞いた
政府の人間が立てたとある仮説のお話。
エマの口からは未だ謎多き物として聞いたが
恐らく政府は此の仮定に現実味を感じている
からこそ決定的な証言を求めて水面下で国王
と通じている可能性の高い者達を追った。
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