RISING 〜夜明けの唄〜

Takaya

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第十一篇第一章 月明かりに照らされる真実

真実の扉が開く刻

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「此の時が来てしまったのう…残念じゃ」



ガルフ等が集った大きな窓の前に立つランス
の口が静かに開いて行く。

ロード達はランスの言葉を待つ様に其の視線
を真っ直ぐに向けると黙り込む。



「先ずは俺等が何者なのかっちゅう所から説明せないかんだろうのう…」



ランスの言葉が続いて行く。



「俺等はとある方を秘密裏に守護するべく集まった…まあ言うなればそうじゃの…其の御方の私兵団っちゅう所じゃな」



ロード達は其のランスの言うとある御方が誰
なのかという所に目星を付ける。



「解っておるじゃろ?其れこそ…ロード。お前の父親であるストラーダ・ケーニッヒ。プレジア王家第十五代国王じゃ…!」



此処迄は予想は付いていた。

しかし、此の六人の人間達は何の繋がりを
持って国王ストラーダを水面下で守護する事
となったのか、其処が未だ解らない。

そして、ランスは続けて口を開く。



「此処からは…ロード。お前も知らん話じゃ…俺等…いや…先ずは俺とガスタの話から行こうか…」



ランスはこう続けて行く。

ランスとガスタは元々政府の役人であった。

ランスの産まれたテラモーノ家とガスタの
産まれたレイノルズ家というのは三百年もの
昔に一つの大きな戦の中で此の国の王たる
資格を得た時の立役者達である。

初代ケーニッヒ国王の両輪として其のチカラ
を発揮したのがランスとガスタの先祖に該当
する人間達であったのだ。

其処から三百年、ケーニッヒ王家の政治的な
部分を支え続けて来たランスのテラモーノ家
とガスタのレイノルズ家。

詳しく話そうとすれば、此の両家の他にも
長らくケーニッヒ王家を支えて来た家系は
あるのだが今は話す必要性は無いだろう。

今から約二十年前にとある事件が起きる事が
無ければランスとガスタは其々、自身の運命
通りの役職に就き王家と共に政治を行うのが
当然の使命だった。

ランスは、防衛庁に属する防衛大臣の座。

ガスタは、法務庁に属する法務大臣の座。

此の役職に収まっていた筈だった。



「ランスとガスタが…政府の役人だった…まったくそんな話…聞いたことねぇぞ…」


「二十年前のとある事件…ロードが生まれた頃の事件らしいな」



驚きを隠せなかったロードの反応を見て其処
に付け加えるかの様にシャーレが此の話の中
の重要性の高い話題に触れる。



「俺が生まれたころ…?」



其の呟きを聞いたランスは深く頷くとロード
達に向けて其の続きを話し始めた。



「本来ならの…お前は次期プレジアの国王…言わば第十六代として育てて行くのが当然の話じゃった…俺等も大臣として政府に直属したままでの…しかし。其の事件から其れは叶わん夢となってしまったんじゃ…」



ランスの放つ言葉の数々に息を呑み続ける
ロード達に向けて更なる説明がランスの口
からされて行く。
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